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ヨット yacht

翻訳|yacht

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヨット
yacht

スポーツ,遊興など娯楽の目的に用いられる快走できる船の総称。広義にはモーターヨットを含めることがあるが,通常は帆走するセーリングヨットだけをさす。 17世紀初頭オランダに生れたセーリングヨットは,のちおもにスポーツ用艇としてイギリスで発達し,1661年同国で最初のレースが行われた。その後もさらに艇の開発や改良が進められ世界に広く普及し,1907年国際ヨット競技連盟の設立をみた。日本では明治中期から欧米人のヨットクラブが横浜,神戸などに生れたが,それに刺激され 16年頃慶應義塾大学水泳部にヨットが備えられ,学生を中心に次第に一般に普及し,32年日本ヨット協会が創設された。構造は半甲板の艇体に,安定と横流れ防止のためのセンターボードを設けただけの簡単なものから,外洋で用いるキール (横流れ防止用材) 構造をもったもの,さらにはキャビンその他の居住施設をもつものまである。

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知恵蔵の解説

ヨット

風力によるセーリングヨットと、エンジンによるモーターヨットとがある。レースは定められたコースを、マークの回り方、追い越し、推進の仕方、航路権等のルールに基づいて帆走し、最短タイムを競う。航路権とは、艇同士の衝突を避けるための優先権のことであり、レースではこの権利をタクティックス(戦術)として使いこなすことが重要なポイントとなる。レースは小型艇、大型艇(全長12m艇)、クルーザー(主に外洋レース)によるレースに分かれる。レースの勝敗は、各艇の速さを算式で換算して求めた修正時間で、不公平のないようにするレーティングというハンディキャップシステムによって決まるものと、単一規格のワンデザインクラスで競われるものとがある。2004年アテネ五輪では9艇種11種目にわたって競技が行われた。

(吉田章 筑波大学教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

ヨット(yacht)

巡航または競走に用いる小型の帆走船。発動機などの推進機関をもつものもある。オリンピック競技ではフィン級・470級など7種目がある。 夏》
[補説]英語では大型のものをさし、日本で普通にいう小型のものはsailboatとよぶ。

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百科事典マイペディアの解説

ヨット

遊覧またはスポーツ用の船艇の総称。広くはモーター・ヨットも含めるが,普通は帆走によるセーリングヨットだけをいう。オランダ語のjachtからきた語で,16―17世紀ころから英国を中心に西欧の貴族のあいだに広まった。
→関連項目サーフィンディンギーヨットハーバー

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世界大百科事典 第2版の解説

ヨット【yacht】

広い意味では,スポーツないし娯楽のための船艇の総称。帆船とは限らず,イギリス王室ヨット〈ブリタニア号〉のように帆はもたず,豪華な小型客船に近いものもある。
[沿革]
 ヨットということばはオランダ語のjachtからきており,16~17世紀のころオランダの内水面で使われた軽快な,縦帆装置の小型帆船をそう呼んでいた。小規模の貨物や旅客の輸送,漁業,そして富裕な人たちの娯楽などに使った。政府所有のスタテン・ヨットstaten jacht(図1)は偵察や連絡,そしてVIPの送迎などが任務であった。

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大辞林 第三版の解説

ヨット【yacht】

小型の帆船。またレジャーやスポーツに用いられる船。 [季] 夏。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヨット
よっと
yacht

川や湖、海洋での回遊や巡航、スポーツなどに使用される船艇の総称。快遊船ともいう。優美で乗り心地がよく、軽快さが特徴で、波に対しても耐える性能を備えている。機関によって推進巡航するものと、帆(セールsail)を備えて巡航時には帆走(セーリング)するものとがある。機走するヨットは機関の種類によって蒸気ヨットとモーター・ヨットがあるが、大型船や特殊な船を除いてはモーター・ヨットが一般的である。イギリス王室のブリタニア号などヨーロッパやアメリカで国や王室、富豪などが所有する居住施設の完備した巡航用の大型ヨットは、ほとんどが機走で帆を装備していない。狭い意味では帆を備えたセーリング・ヨットをヨットとよぶことが多い。[岩井 聰]

歴史

17世紀の初めにオランダでヤハトjaghtという快速帆船が現れた。この船は船首尾線方向に沿って鉛直に縦帆を張り、リーボードという板を船側から垂らして、船が風下側に横流れするのを防いでいた。帆走性能も優れ、風向きに対して6点(67度30分。1点は32分の360度)程度までの針路を保って帆走できる良好な操縦性を備えており、海賊の追跡や、停泊中の大型の船と船、あるいは陸との連絡に使用された。やがてヤハトどうしでスピードを競ったり、帆走を楽しむなどスポーツ用、遊覧用にも用いられるようになった。1660年、イギリスの王政復古によって、オランダに亡命していたチャールズ2世が王位についた祝いに、1隻のヤハトが贈られた。ヤハトはイギリスでヨットとよばれ、レーシングなどの海上スポーツや遊覧(クルージング)用として上流社会に普及し、さらに船体の小型化とともに急速に一般に普及した。ヨットレースは大洋を舞台に国際化し、クルージングも七つの海へと広がりをみせている。[岩井 聰]

帆装様式

ヨットにはいろいろな帆の張り方(リグrig)がある。
(1)キャット cat 艇首に近い1本マストに比較的大きな帆を張る。操縦が簡単でかなりの速力が出るので、小型のレース艇にも使われている。フィン、レーザーなどのディンギーはこの様式である。
(2)スループ sloop 1本のマストの前と後ろに各1枚の帆を装備する。操縦性がよく軽快で、波の少ない水面で用いられるもっとも一般的な様式である。FJ、スナイプ、シーホース、470、スター、ソリングなどはこのタイプに属する。
(3)カッター cutter 速力だけでなく耐航性も重視している。喫水が深く艇も重い。帆装様式はスループに似ているが、マストの前方には2枚以上の帆を備える。
(4)ヨール yawl 2本マストを備え、後部マストの帆によって操縦性を向上させた。艇を大きくし、外洋の波浪中での帆走に適するヨットである。
(5)ケッチ ketch ヨールを改良した様式で、艇尾のマストをやや前方に移して後帆を大きくし、前のマスト前方の帆を2枚装備するなどして帆走性能を向上させている。
(6)スクーナー schooner 後ろのマストを高くしてその前側にも帆を備えている。大型では3本、またはそれ以上のマストを装備するものもある。ヨールやケッチの長所を取り入れ、推進性、操縦性、操作性などが優れ、巡航用としての条件を満たす様式である。[岩井 聰・柴沼克己]

帆による推進力

セーリング・ヨットは帆に働く風によって推進力を得て航走する。帆に斜め方向から風が当たると、風は帆のカーブに沿って流線を描きながら流れる。このとき、帆の風上側では空気の圧力が増して加圧力を生じ(加圧域)、風下側では圧力が減じて吸引力が生じ(減圧域)、帆を風下側へ押す力(合力)を発生させる。この合力の艇首方向への分力が艇を前進方向に押す推進力となる。横方向への分力は艇を風下側へ押す横漂流力となる。艇の横漂流は極力小さく抑えることが必要なので、艇の横移動に対抗する水圧抵抗を増すようにセンターボードなどが装備されている。
 帆を真横に張り風を艇尾から受ける場合は、帆に働く力の方向が前進方向と一致し、加圧力に比例した推進力を生じる。セーリング・ヨットは、この帆による推進力がより大きくなるように、帆と艇を設計し、操縦(帆走)することが望ましいとされる。[岩井 聰]

帆走の種類と操縦

帆走は艇に対する風向きと帆の張り方で次の三つの形式に大別される。また、風を右舷(うげん/みぎげん)側から受ける場合をスターボードタックstarboard tack(右舷開き)、左舷側(さげん/ひだりげん)から受ける場合をポートタックport tack(左舷開き)という。
〔1〕クロースホールド close-hauled 艇首を風上にいっぱいに寄せた(風上にいっぱい切り上げるという)姿勢で帆走する状態をいう。風上に向かって近づきうるぎりぎりの針路をとりながら風に逆らって航走する。詰(つめ)開き、あるいは一杯開きという。風向きに対し右舷開き、左舷開きを交互に繰り返してジグザグ針路をとりながら風上方向に航走する(このことを「間切(まぎ)る」「ビーティング」という)場合に用いる帆走法である。風に対する艇の針路は、帆や艇の性能によって35度から45度程度まで切り上げることができる。しかし、艇首を風上に切り上げすぎると、帆の周りの風の流れが悪くなり、帆がばたばたと波打って(シバー)速力が落ちてしまう。また、艇首が風下に落ちすぎると(艇首を風下に向けすぎると)、急に大きな風圧が帆に働き、横流れの増大や風下側への突然の大きな傾斜をおこす危険がある。クロースホールドの場合は風に対して安定した針路の保持がたいせつである。
 風上に向けてジグザグ針路をとって進むために、風を受ける舷を左から右、右から左と変える艇の操縦には、2種類の方向変換の方式がある。
(1)タッキングtacking(上手(うわて)回し)は艇首を風上に向けて風を受ける舷を変える操法である。行き足(艇の速力)が不足すると失敗しやすいので、十分に加速して舵(かじ)と帆を使い一気に回頭させなければならない。
(2)ウェアリングwearing(下手(したて)回し)は艇首を風下側に落としながら回頭するので速力も落ちず、風が弱いときでも回頭しやすい方法である。しかし、回頭が進み風向きが真後ろになって帆の舷を変える(ジャイビング)とき、瞬間的に帆に大きな風圧が働いて危険な場合があるので、操作には十分な注意を要する。
〔2〕ランニング running 艇尾から風を受け、帆をほぼ真横方向に張り出して風に押されて風下に前進してゆく帆走法である。風を真後ろから受けるために艇首側の帆(ヘッドセール、ジブセール、ジブ)は後ろの帆(メインセール、メンスル)の陰になって十分に風を受けられないので、ウィスカーポール(細い円柱材)でメインセールと反対舷の舷外に展張し、風がいっぱいに当たるようにする。2枚のセールを両舷に開いて張るため観音(かんのん)開きとよぶ。ランニングや次に述べるリーチングで帆走する場合に推進性や安定性を高めるため、スピネーカーセールという色とりどりの三角形の薄い帆を張ることもある。ランニングでは帆の艇外に出る部分が広くなるので、風の作用中心が艇の中央首尾線から離れて舷側に移り、回頭モーメントを生じる。また、帆の周りの風の流れ、とくに反流の安定性が悪くなり、さらに追い波による艇体の動揺が加わる。したがって、針路の保持が困難になり操縦しにくい。クロースホールドのウェアリングによる方向変換で述べたように、ランニングの状態のまま風を受ける舷を変えるジャイビングは急に大きな風圧を受ける危険を伴うので、針路の保持や帆の操作には十分な注意が肝要である。なお、ランニングの場合は針路の安定性が劣るので、艇員はできるだけ艇尾に位置を変え、トリム(艇の前後の傾き)を艇尾側に増大させる措置も必要である。
〔3〕リーチング leeching クロースホールドとランニングの中間、艇首に対して45度から180度程度までの風を受けて帆走する状態をいう。真横の風を受ける場合をビームリーチ、それより艇首寄りの風を受ける場合をクロースリーチ、艇の真横から艇尾寄りの風を受ける場合をブロードリーチとよんで区分する。いずれの場合も艇の針路目標を決め、帆の向きを少しずつていねいに調整し慎重に帆走する必要がある。[岩井 聰・柴沼克己]

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