ラッセル音(読み)ラッセルオン(その他表記)Rasselgeräusch[ドイツ]

デジタル大辞泉 「ラッセル音」の意味・読み・例文・類語

ラッセル‐おん【ラッセル音】

《〈ドイツ〉Rasselgeräuschから》肺・気管気管支病気の際に、聴診器で聞こえる異常な呼吸音ラ音ラッセル

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精選版 日本国語大辞典 「ラッセル音」の意味・読み・例文・類語

ラッセル‐おん【ラッセル音】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Rasselgeräusch の訳語 ) =ラッセル
    1. [初出の実例]「でも胸からはラッセル音がきこえますけどね」(出典:再発(1960)〈遠藤周作〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「ラッセル音」の意味・わかりやすい解説

ラッセル音 (ラッセルおん)
Rasselgeräusch[ドイツ]

肺音の一種囉音とも呼ばれ,呼吸器(肺や気管支)の病的状態の際にだけ発生する副雑音adventitious lung soundのこと。ラッセル音の分類は各国によってさまざまであり,必ずしも統一がとれているわけではないが,いずれもフランスのR.T.H.ラエネクによる《間接聴診法》(1819)の記載が出発点となっている。ラエネクの分類はやがてJ.フォーブズによってイギリスを経てアメリカやヨーロッパ各地へ広がった。日本の分類はドイツの伝統的なクレンペラー診断学教科書に直接由来している。

 ラッセル音は大別して,断続的でパルス様の音と,連続的な音とに分けられる。前者はさらに粗いブツブツいう音と細かなプツプツいう音に分けられ,後者は音色の高いものと低いものとに分けられ,それぞれ名称が与えられている。肺聴診では,これらの音を聴き分け,呼吸音breath soundの変化を加味して診断される。最近の肺音研究の進歩のなかでラッセル音の発生機序の解明が試みられ,国際的な用語統一の気運も起こっている。
肺音
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百科事典マイペディア 「ラッセル音」の意味・わかりやすい解説

ラッセル音【ラッセルおん】

ラ(【ら】)音とも。気管・気管支・肺胞などに分泌液・浸出液が存在するとき,聴診器に聞こえる雑音をいう。各種呼吸器疾患の際現れる。その性質により,気管支炎気管支喘息(ぜんそく)などの際の乾性ラッセル(笛声(てきせい)音,類鼾(るいかん)音等)と,急性肺炎肺水腫(しゅ)などの際の湿性ラッセル(水泡(すいほう)音,捻髪(ねんぱつ)音)に大別される。

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