改訂新版 世界大百科事典 「ラマナマハルシ」の意味・わかりやすい解説
ラマナ・マハルシ
Ramaṇa Maharṣi
生没年:1879-1950
近代インドの神秘主義者。南インド,マドゥライ近郊の中流のバラモンの家庭で,弁護士の次男として生まれたごく平凡な子どもであったが,17歳のとき,突然根本体験を経験し,アルナーチャラ(〈赤い山〉。タミル語でティルバンナーマライ)山の麓にこもって50年間,終生一歩もそこを離れることがなかったといわれる。たいへん感化力の強い人で,多くの人々が国の内外から訪れた。その著作の大部分はタミル語の詩であるが,なかにはタミル語の散文で書かれた若干の小品やシャンカラに帰せられている作品のタミル語訳も含まれている。彼の哲学は8世紀のシャンカラの到達した不二一元論であり,彼の実在は不二のアートマンで,有・知・歓喜にほかならない。本来無属性であるが,有属性であるかのように思われる。有属性のアートマンは神と呼ばれ,本来実在しない。世界はこの神から顕現したもので,真理をみる者には実在しない。
執筆者:前田 専学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報