日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラーモア」の意味・わかりやすい解説
ラーモア
らーもあ
Sir Joseph Larmor
(1857―1942)
イギリスの理論物理学者。アイルランドのクィーンズ大学自然哲学教授を経て1885年ケンブリッジ大学の数学講師、1903年にストークスの後任として同大学ルカス講座の数学教授となった。1901年から12年間王立協会会長も務めた。1883年以来電磁場と物質との相互作用を研究、ローレンツやゼーマンらの研究に注目し、1897年磁場内の電子運動に関するラーモア歳差運動を定式化した。1899年には磁場内での荷電粒子系の運動を一般的に論じたラーモアの定理を導いた。また気体運動論や光学、熱力学分野で数理的解析も行ったが、相対論や量子論には最後まで疑問をもち続けた。
[高橋智子]