投資家がリスクのある商品(危険資産)に投資する際、リスクのほとんどない商品(安全資産)に比べて期待する上乗せ分のリターン(収益、運用利回り)のこと。一般に、投資商品には、国債のような元本と運用利回りがほぼ保証された安全資産もあれば、株式や外国為替(かわせ)関連商品のように元本割れリスクのある危険資産もある。一般に、リスク・プレミアムとは、安全資産とみなされている国債の運用利回りと株式などの危険資産の運用利回りの差を意味する。たとえば国債の運用利回りが1%で、株式の平均的運用利回りが5%の場合、その差の4%がリスク・プレミアムに相当する。金融危機などの際には、リスクを回避するため、資金が安全資産に集中し、リスク・プレミアムが急拡大する傾向がある。なお、債券のリスク・プレミアムをクレジット・スプレッド、株式の場合はエクイティ・リスク・プレミアムとよぶことがある。
リスク・プレミアムは、(1)株式や債券の価格が経済環境の変化で変動する価格変動リスク(price fluctuation risk、market risk)、(2)金融商品を発行した企業や金融機関が倒産して元利金を完全には回収できない貸し倒れリスク(default risk)、(3)外貨建て資産の価値が外国為替相場の変動によって上下する外国為替リスク(foreign exchange risk)、(4)テロ、戦争、資源価格暴落など特定の地域特有の要因による地政学的リスク(geopolitical risk)、(5)歳入不足や税収減少などによる政府の財政リスク(financial risk)など、さまざまな要因で変動する。このためリスク・プレミアムを求める各種のモデル式が考案されている。
[矢野 武 2016年8月19日]
出典 M&A OnlineM&A用語集について 情報
…リスクがゼロのときそれは利子率とよばれる。投資収益のリスクは投資家にとって好ましいものではないので,リスクの大きさに対応したより高い収益率すなわちリスク・プレミアムを投資家が要求するからである。したがって,新規投資が稼得する投資家への分配可能利益(営業利益または利子支払前利益)のリスクが,資本コストの基本的な決定要因といえる。…
…
[不確実性への態度]
問題を,不確実性が既知の確率で表しうるケースに限定して考える場合でも,たとえば確率的変動をともなった一定期待値の収益と,その収益期待値と大きさがまったく等しいが確率的変動なしの確定的収益の間でどちらを選好するか,という選好関係の問題がある。ある期待値をもった変動収益と効用の点でまったく無差別であるような確定収益を,その変動収益に対する確実性等価と呼び,変動収益の期待値とそれに対する確実性等価の差(通常は前者のほうが大きい)をリスク・プレミアムと呼ぶ。また,異なった分散―変動性をもち,同じ大きさの期待値をもつような二つの変動収益の間の選好に関連して,期待値が同じであれば,より分散の小さい,変動性の低いほうを選好する人(通常の企業の選好態度)を危険回避者(risk avertersの訳で〈危険を回避する人〉とも訳す)と呼び,それに対して,より分散の大きい,変動性の高いほうを選好する人(ばくち好きの人の選好態度)を危険愛好者(risk loversの訳で〈危険を好む人〉とも訳す)と呼ぶ。…
※「リスクプレミアム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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