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リュトブフ Rutebeuf

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リュトブフ
Rutebeuf

13世紀後半のフランスの詩人ジョングルールとして貧窮のうちに放浪生活を続け,庇護者を求めてみじめな生涯をおくった。聖者伝からファブリオー風刺詩まで,ほとんどすべてのジャンルの作品を残している。抒情性に富み,清新な感覚にあふれた詩篇は,ビヨンの先駆と目される。自己の不遇を嘆いた『リュトブフ貧困歌』 La Povreté Rutebeufなどのほか,魂を悪魔に売ろうとした僧侶が聖母に救われるというファウスト伝説に似た主題の,最古の聖母奇跡劇『テオフィールのミラークル』 Le Miracle de Théophile (1261頃) ,独白劇『薬草売りの口上』 Le Dit de l'herberieなどが知られている。

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世界大百科事典 第2版の解説

リュトブフ【Rutebeuf】

中世フランスの詩人。生没年不詳。1245‐80年ころに活躍。シャンパーニュ地方出身説もあるが確証はない。パリに住み,詩人であると同時に職業的吟遊楽人(ジョングルール)。ラテン文学フランス文学素養があり,聖人伝,宗教詩(《天国の道》など),ファブリオー,聖母奇跡劇(《テオフィルの奇跡劇》)など多くのジャンルを手がけ,とくに政治・社会風刺詩,抒情詩に優れた才を発揮。現存詩編は55編1万4000行に及ぶが,かなりの部分は貴族の注文により(いくつかの《挽歌》),あるいは彼らに売り込むために作られたと推定される。

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大辞林 第三版の解説

リュトブフ【Rutebeuf】

フランスの詩人。一三世紀半ばに活躍。作品は風刺詩・抒情詩・宗教詩・ファブリオー(韻文の笑い話)など多彩なジャンルにわたる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リュトブフ
りゅとぶふ
Rutebeuf

生没年不詳。13世紀フランスの詩人。シャンパーニュ地方出身で、パリ大学に学んだ。自身の貧困や結婚を歌った叙情詩、パリ大学紛争に関し、神学者で総長のギヨーム・ド・サン・タムールGuillaume de Saint-Amour(1202―72)を弁護し托鉢僧(たくはつそう)団を批判した風刺詩やファブリオーfabliau、聖者伝、宗教劇などレパートリーは広いが、作家としての内面的要求によるというよりは、むしろ、彼の保護者たちの気に入られるための、話題性に富んだジャーナリスティックな作品が多い。[鷲田哲夫]

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世界大百科事典内のリュトブフの言及

【詩】より

…古いものでは8世紀ごろ成立したイギリスの《ベーオウルフ》があり,北欧の〈エッダ〉と〈サガ〉,ドイツの《ニーベルンゲンの歌》などのゲルマン色の濃いものや,おそらくケルト系のアーサー王伝説群,それに,キリスト教徒の武勲詩の性格をもつフランスの《ローランの歌》,スペインの《わがシッドの歌》などが,いずれも12,13世紀ごろまでに成立する。抒情詩としては12世紀ごろから南仏で活動したトルバドゥールと呼ばれる詩人たちの恋愛歌や物語歌がジョングルールという芸人たちによって歌われ,北仏のトルベール,ドイツのミンネゼンガーなどに伝わって,貴族階級による優雅な宮廷抒情詩の流れを生むが,他方には舞踏歌,牧歌,お針歌などの形で奔放な生活感情を歌った民衆歌謡の流れがあり,これがリュトブフ(13世紀)の嘆き節を経て,中世最後の詩人といわれるフランソア・ビヨン(15世紀)につらなる。ほぼ同じ時期に最後の宮廷詩人シャルル・ドルレアンもいて,ともにバラードやロンドーといった定型詩の代表作を残した。…

※「リュトブフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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