日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説
リン酸ナトリウム
りんさんなとりうむ
sodium phosphate
リン酸の三ナトリウム塩。リン酸三ナトリウムとも、第三リン酸ナトリウムともいう。リン酸水素二ナトリウムの水溶液に当量の水酸化ナトリウムを加え、蒸発乾固したのち電気炉で加熱脱水すると、無水和物が得られる。リン酸に過剰の水酸化ナトリウムを加えて蒸発濃縮すると、室温で12水和物が得られる。晶出の温度によって十、六、0.5水和物なども得られる。無水和物は無色の粉末で、水100グラムに0℃で4.5グラム、100℃で77グラム溶ける。水溶液は強アルカリ性を呈する。12水和物は無色六方晶系の結晶。100℃で脱水して一水和物となる。アルカリ性洗浄剤、革なめし剤、清缶剤、硬水軟化剤などの用途がある。なお、水素塩を単にリン酸ナトリウムとよぶことがある。
[鳥居泰男]