リン酸ナトリウム(読み)りんさんなとりうむ(英語表記)sodium phosphate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

リン酸ナトリウム
りんさんなとりうむ
sodium phosphate

リン酸の三ナトリウム塩。リン酸三ナトリウムとも、第三リン酸ナトリウムともいう。リン酸水素二ナトリウム水溶液に当量の水酸化ナトリウムを加え、蒸発乾固したのち電気炉で加熱脱水すると、無水和物が得られる。リン酸に過剰の水酸化ナトリウムを加えて蒸発濃縮すると、室温で12水和物が得られる。晶出温度によって十、六、0.5水和物なども得られる。無水和物は無色粉末で、水100グラムに0℃で4.5グラム、100℃で77グラム溶ける。水溶液は強アルカリ性を呈する。12水和物は無色六方晶系の結晶。100℃で脱水して一水和物となる。アルカリ性洗浄剤、革なめし剤、清缶剤、硬水軟化剤などの用途がある。なお、水素塩を単にリン酸ナトリウムとよぶことがある。

[鳥居泰男]


リン酸ナトリウム(データノート)
りんさんなとりうむでーたのーと

リン酸ナトリウム
リン酸ナトリウム12水和物
  Na3PO4・12H2O
 式量  380.1
 融点  73.4℃
 沸点  ―
 比重  1.62
 結晶系 三方
 屈折率 (n) 1.4458
 溶解度 28.32g/100g(水15℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

リン酸ナトリウム
リンさんナトリウム
sodium phosphate

リン酸三ナトリウム,Na3PO4 。第三リン酸ナトリウム,リン酸ソーダともいう。リン酸に過剰の水酸化ナトリウムを加えた水溶液を濃縮するか,またはリン酸水素二ナトリウムに水酸化ナトリウムを当量加えると生成する。 12水塩は無色六方晶系結晶,融点 73.4℃。 100℃で1水塩になる。熱水から再結晶すると温度により,10水塩,6水塩などが得られる (常温では 12水塩) 。 212℃以上では無水塩となる。水によく溶け,強アルカリ性を呈する。リン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムに解離する。洗剤,硬水軟化剤などに用いられる。なお,医薬分野,工業関係では,リン酸水素二ナトリウムを単にリン酸ナトリウムと称することがある。

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栄養・生化学辞典 「リン酸ナトリウム」の解説

リン酸ナトリウム

 NanH3−nPO4で表される3種類のリン酸のナトリウム塩.醸造,食品製造に用いる食品添加物調味料の強化剤にも使われる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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