改訂新版 世界大百科事典 「ルーバン大学」の意味・わかりやすい解説
ルーバン大学 (ルーバンだいがく)
ベルギーで最も古く,有力なカトリック大学。ルーバン所在のオランダ語による大学Katholieke Universiteit Leuven(学生数2万7000)と近郊のフランス語による大学Université Catholique de Louvain(学生数2万)との総称。1425年,ブラバント公ヤン4世Jan Ⅳの発意,教皇文書による認可,市当局からの特権賦与によって設立され,当時富裕を誇ったネーデルラント唯一の大学として発展し,16~17世紀にはエラスムス,リプシウスJ.Lipsius,メルカトル,ヤンセンなどの著名な教師を擁して,ヨーロッパでも有数の地位を獲得し,カトリック思想の一つの拠点となった。19世紀末以降は,神学,哲学部のみならず,諸学部を擁する総合大学として発展した。20世紀には,フラマン語(オランダ語)地帯にありながら主としてフランス語を用いていたので,ベルギーの言語紛争の渦中に置かれた。オランダ語による講義の増加,フランス語部門とオランダ語部門への分割と進んだ後,1968年二つの大学に分裂し,フランス語系は市の南西方約30kmに新たに建設されたルーバン・ラ・ヌーブLouvain-la-Neuve(オッティニーOttignies)に移転した。同時に大学運営の世俗化と民主化とが行われた。
執筆者:森本 芳樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報