日本大百科全書(ニッポニカ) 「メルカトル」の意味・わかりやすい解説
メルカトル
めるかとる
Gerhardus Mercator
(1512―1594)
オランダ、東フランドルのルペルモンド生まれの地理学者。近代地図学の祖といわれる。フランドル名はGerhard Kremer Mercator。ルーバン大学で数学、天文学、地理学を学んだ。1538年に初めて世界図を、1541年に地球儀を、1551年に天球儀を製作した(両球儀とも奈良・天理図書館に収蔵)。1552年にドイツのデュースブルクに研究所を設立し、地図製作に後半生を捧(ささ)げた。1554年には15枚の大ヨーロッパ地図を、1564年には8枚からなるイギリスの大掛け地図を完成し、1569年には有名なメルカトル世界図を完成した。この図を航海図として彼が最初に用い、その後現在に至るまで広く普及し、メルカトルの名は科学史上永遠に残ることとなった。
[市川正巳]