ドイツの天文学者,数学者。本名はミュラーJohannes Müllerで,ケーニヒスベルクのミュラーとも称され,ケーニヒスベルクをラテン語化したレギオモンタヌスの名で知られる。ウィーン大学で学び,1457年同大学に奉職。ポイエルバハGeorg von Peuerbach(1423-61)から天文学を学んでその協力者となる。ビザンティンの人文主義者で神学者であり,またトルコの圧迫によって東西教会の統一という課題にも取り組んだベッサリオンがウィーンを訪れた際(1460)に,ポイエルバハは彼からプトレマイオスの《アルマゲスト》の正確な集約版をつくることを提案され,ポイエルバハは,12世紀のクレモナのゲラルドのラテン語訳を用いてこの仕事を行ったが,彼の死後,この仕事を受け継いだレギオモンタヌスは,ベッサリオンに伴われてローマへ赴き,ギリシア語を学んだうえで,《アルマゲスト》集約版である《エピトメ》を完成した(1463)。結局,このポイエルバハ=レギオモンタヌス訳の《エピトメ》が印刷刊行されたのは96年ベネチアにおいてであったが,《エピトメ》には,プトレマイオス以降の新しいデータがいくばくかつけ加えられており,とくに月に関してプトレマイオスの誤りを指摘しており,コペルニクスがこの刊行本を読んで,プトレマイオスが完璧ではないという確信を得たと伝えられる。1463年,パドバ大学ではファルガーニーやバッターニーなどイスラム系の天文学を講じ,そこで三角法的な見地を立て,コサインの概念を得て《三角法論》(1533)を著した。のちハンガリーに移って,7桁の三角関数表をつくった。その後71年ニュルンベルクへ戻り,ローマで死す。彼の手紙のなかに,地球の運行を示唆した文章があるという発見がG.ハルトマンによってなされ,この着想がコペルニクスを刺激した可能性も云々されているが,少なくとも現存するレギオモンタヌスの書き物のなかに,地球運動を指摘した個所は見当たらないといわれている。
執筆者:村上 陽一郎
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ドイツの天文学者。ヨーロッパ最初の天文台の建設者。本名はミュラーJohannes Müllerであるが、生地のケーニヒスベルクのラテン語名であるレギオモンタヌスが通称としてよく知られる。1452年ウィーン大学に赴き、ポイエルバハの下でプトレマイオスの天文学を学んだ。1461年恩師の没後ローマに留学、ギリシア語を修めて、『アルマゲスト』原典のラテン語訳を果たし、1464年にパドバ大学、1467年にブダペスト宮廷で講義を行い、この間に正弦表を計算し公刊した。1471年ニュルンベルクにヨーロッパ最初の天文台を建設し、新天文観測器を製作し、新観測法を考案して、大航海時代の進展に寄与した。すなわち1474年『天体位置推算表』を公刊して、遠洋航海者に配布し、また恒星と月との角距離による時刻比較法を指示して、洋上経度の決定を可能にした。1472年ハリー彗星(すいせい)の出現に際して、その位置変化を追跡して、それが天体であることを認定した。1475年ローマ教皇庁に招かれ、教会暦の改暦審議に参加した。
[島村福太郎]
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1436~76
ドイツの数学者・天文学者。1473年,有名な『天体暦』を刊行,天文航法の進歩に絶大な貢献をした。コロンブス,ヴァスコ・ダ・ガマ,アメリゴ・ヴェスプッチなどは,みなこの『天体暦』を用いている。
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…古代のエジプト,バビロニア,中国にも三角法の芽生えが見られるが,前150年ころのギリシアのヒッパルコス(ニカエアの)が三角法の創始者といわれている。現在の三角法の形式はドイツのレギオモンタヌスRegiomontanus(1436‐76)によるといわれ,その諸定理はJ.ネーピア,J.ケプラーを経て,L.オイラーに至って整備されたものである。三角法は天文学,航海術,測地法などに広く用いられている。…
…プトレマイオスの《アルマゲスト》がヨーロッパに完全に理解されるようになったのは,やっと15世紀のことである。ドイツ生れのプールバハGeorg Purbach(1423‐61)やその門弟レギオモンタヌスは《アルマゲスト》を基礎にして天文表を作製した。
[近世]
コペルニクスが〈地動説〉を唱えたことは,天文学ばかりでなく一般の学問に大きな変革をもたらし,これまで絶対の真理として考えられていたギリシアの学問に根本的な反省を与えることになった。…
※「レギオモンタヌス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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