日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッターニー」の意味・わかりやすい解説
バッターニー
ばったーにー
Abū ‘Abd Allāh Muammad ibn Jābir ibn Sinān al-Raqqī al-arrānī al-abi al-Battānī
(858?―929)
イスラム最大の天文学者の1人。ラテン名はアルバテグニウスAlbategnius。メソポタミアのハラン出身。K・プトレマイオスの『四書』Tetrabiblosの注釈書も含め多数の著書があるが、その主著は、ラテン語訳のある星表のついた『星の知識について』De scientia stellarumと、ルネサンスまで影響を及ぼした『星の数と運動について』De numeris stellarum et motibusである。この2書に、彼が877年以来多数の観測を行ったこと、880年に星表を編集し、天文学上の種々な係数を非常に精確にしたこと、太陽の遠地点運動を発見したことなどを書いている。また、そうした天文計算のための三角法の概要が記述されているが、そこでは単に正弦だけでなく正接と余接も正式に使用されている。
[平田 寛]