日本大百科全書(ニッポニカ) 「レーウィット」の意味・わかりやすい解説
レーウィット
れーうぃっと
Karl Löwith
(1897―1973)
ドイツの哲学者。ミュンヘンに生まれる。フライブルク大学でハイデッガーに学ぶ。マールブルク大学講師時代にナチスのユダヤ人圧迫にあって日本の東北大学に移り(1936~1941)、さらにアメリカに亡命したが、第二次世界大戦後帰国、ハイデルベルク大学教授となった。ハイデッガーの現存在分析を人間の共同存在分析に適用した『役割のなかの個人』や、19世紀ドイツ精神史である『ヘーゲルからニーチェへ』などの著作がある。ハイデッガーの後期の思想には批判的であり、またキリスト教に由来する歴史主義の思想を退け、ギリシア的自然を強調して、多くの論議をよんだ。
[宇都宮芳明 2015年4月17日]
『柴田治三郎訳『ヘーゲルからニーチェへ』Ⅰ・Ⅱ(1952、1953・岩波書店)』