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一銭切 いっせんぎり

百科事典マイペディアの解説

一銭切【いっせんぎり】

室町時代の末ごろから行われた刑罰。斬罪(ざんざい)のことをいう。豊臣秀吉による小田原征伐の際の軍令に登場するものが著名。この名の由来は,軍規を保つために一銭でも盗んだ者は斬罪に処せられたからとする説が有力だが未詳。

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世界大百科事典 第2版の解説

いっせんぎり【一銭切】

豊臣秀吉が配下の軍隊に占領地での放火・略奪などを禁じた軍令に出てくる刑名。1590年(天正18)小田原の陣のものが著名で〈濫妨狼藉の輩は一銭ぎりたるべき事〉とある。意味については早く江戸時代から考証家の間に(1)1銭(1文)を奪っても斬首にする,(2)1銭も残さず所持品を没収する,(3)銭は千の当て字であり,一千切,すなわち細かく切り刻む意である,の3説が唱えられてきた。現在では1501年(文亀1)に九条政基が和泉国の所領に出した禁制に〈窃盗の儀,三銭を過ぐるは(中略)切り棄つべき事〉とあることから,(1)の説が有力であるが,確証はない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一銭切
いっせんぎり

安土(あづち)桃山時代の刑罰。織田信長や豊臣(とよとみ)秀吉が出した戦陣の禁制にみえる語で、乱暴、狼藉(ろうぜき)などを働いた者は「一銭切たるべし」と定めている。その内容については江戸時代から2説ある。その一つは新井白石(あらいはくせき)の説で、たとえ1銭すなわち1文(もん)盗んでも死刑に処することを意味した、とする。その二は伊勢貞丈(いせさだたけ)の説で、「切」は限りを意味とし、過料銭すなわち罰金を取り上げる場合、1文までも探して全財産を没収することと理解している。現代においてもいずれが正しいかは一定していないが、戦国時代から安土桃山時代にかけては、戦時体制のもとで厳罰主義がみられ、とくに戦陣においては規律を保つためにこのような刑罰を予告したのである。[平松義郎]
『三浦周行著「歴代法制の公布と其公布式」(『法制史の研究』所収・1919・岩波書店)』

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世界大百科事典内の一銭切の言及

【盗み】より

…盗みに対しては見つけしだい打ち殺すのが,この世界でのルールであり,犯人の妻子まで縁坐として処刑されることもまれではなかった。戦国時代の法令にあらわれる一銭でも盗んだ者は死刑にするという〈一銭切(いつせんぎり)〉〈三銭切〉の語は,この在地の苛酷な慣習のもとから生まれたものである。中世日本人のこの盗みを忌み嫌う独特の観念は,盗みを一種の災い・穢れとする古い考え方に由来する。…

※「一銭切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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