さいころ2個を使ってする賭博。丁半賭博ともいう。丁とは偶数,半とは奇数のことである。江戸時代中期から後期に,博徒が賭場を開いて客を集めるようになって形がととのった。さいころ2個をざるでつくったツボへ入れて盆茣蓙(ぼんござ)の上へ伏せ,ツボを除いたとき出た目の合計が丁か半かで勝負を決める。丁の目が出れば,丁方へ張った者が賭場の手数料を差し引いたのちに,半方へ張った者の駒をもらう。賭場は博徒の家の二階などにつくられ,畳3枚を縦に敷き,白布を張った盆茣蓙をはさんで客は丁方と半方に分かれる。賭場へはいると,現金は駒といわれる木札と交換し,帰るとき精算をする。見張り,下足,梯子(はしご)番,賭場の世話をする出方(でかた),ツボ振りの中盆(なかぼん),貸元あるいは代貸がいるのが普通の賭場のあり方である。
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
2個の賽(さい)(さいころ)を使うかけ合わせ賭博(とばく)。江戸時代から博打(ばくち)の代名詞のようによばれているのがこの丁半である。これには、俗に鉄火場という小規模のものと、大勝負の賭博とがある。方式は、2個の賽の目の合計が丁(偶数)か、半(奇数)かで勝負する。また盆蓙(ぼんござ)というものがあり、綿の入った蒲団(ふとん)の四隅を鋲(びょう)で動かぬようにしてある一名「盆台」の上に、通常幅二尺(約60センチメートル)、長さ二間(約3.6メートル)ぐらいの金巾(かなきん)または綿ネルでつくった盆切れを置く。「壺振(つぼふ)り」と「中盆(なかぼん)」とよぶ2名の者が盆蓙を中心にして相対して座り、これに賭金(かけきん)を張る客の席も定まっていて、丁を張る者が中盆の側に座り、半を張る者が壺振りの側に対峙(たいじ)して座る。これは胴元がないので、一方に過不足があるときは中盆が努力して対等額になるようにする。用意が整うと、中盆が「壺」と威勢のよい声をかける。壺振りが二つの賽を壺に入れて伏せ、賭金などを確かめてから、中盆が「勝負」と一声の下に壺をあけ、勝敗が決まる。
[稲垣史生]
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