小説家。東京生まれ。本名河上雄三。旧制横浜高商(現、横浜国立大学)卒業後、読売新聞社入社。『遠い声』が1959年度(昭和34)上半期の文学界新人賞次席となる。以後、いわゆる社会派推理小説、スパイ小説、時代小説の分野で旺盛(おうせい)な筆力を発揮。『風塵(ふうじん)地帯』(1966)で日本推理作家協会賞、翌年、無軌道な少年少女群像を描く『聖少女』(1967)により第58回直木賞を各受賞。以後、歴史小説を手がけるようになり、革命家ゲバラ、沖田総司(そうじ)、坂本龍馬(りょうま)、黒岩涙香(くろいわるいこう)、星亨(ほしとおる)らを主人公とする多彩な執筆活動を展開した。主要な作品に、『チェ・ゲバラ伝』(1971)、『私説・沖田総司』(1972)、『小説沖田総司――六月は真紅の薔薇(ばら)』(1975)、黒岩涙香を扱った『まむしの周六――万朝報物語』(1977)、『誰が竜馬を殺したか』(1996)などがある。さらに、『近代ジャーナリスト物語――天馬の如(ごと)く』上下(1982)、『日本宰相伝』3冊(1992~1998)、『政商伝』(1993)などの人物列伝のシリーズを手がけた。これら歴史をテーマにしたものには、『興亡と夢――戦火の昭和史』5冊(1986)、『興亡三国志』5冊(1997)、『明治に名参謀ありて――近代国家「日本」を建国した6人』(1999)、『妖婦の伝説』(2000)などもある。
[伊藤和也・磯貝勝太郎]
『『興亡と夢――戦火の昭和史』5冊(1986・集英社)』▽『『興亡三国志』5冊(1997・集英社)』▽『『明治に名参謀ありて――近代国家「日本」を建国した6人』(1999・小学館)』▽『『妖婦の伝説』(2000・実業之日本社)』▽『『チェ・ゲバラ伝』新装版(2001・原書房)』▽『『聖少女』(文春文庫)』▽『『風塵地帯』『私説・沖田総司』『まむしの周六――万朝報物語』『近代ジャーナリスト列伝――天馬の如く』上下(中公文庫)』▽『『小説沖田総司――六月は真紅の薔薇』上下『政商伝』(講談社文庫)』▽『『日本宰相伝』3冊(徳間文庫)』▽『『誰が竜馬を殺したか』(光文社文庫)』▽『チェ・ゲバラ著、三好徹訳『チェ・ゲバラの声――革命戦争の日々・ボリビア日記 詳注版』(2002・原書房)』
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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