日本大百科全書(ニッポニカ) 「不破哲三」の意味・わかりやすい解説
不破哲三
ふわてつぞう
(1930― )
政治家。東京都生まれ。本名上田建二郎。兄は共産党副委員長を務めた上田耕一郎。1953年(昭和28)東京大学卒業。1947年旧制一高在学時に日本共産党に入党した。大学卒業後、日本鉄鋼産業労働組合連合会本部書記を1964年まで務め、同年3月からは党本部に移り、中央委員候補、中央委員を経て、1970年の共産党第11回大会で新設の書記局長に就任した。同時に最年少40歳で常任幹部会員となった。1969年の総選挙で衆議院旧東京6区から初当選。1982年に党幹部会委員長となり、1987年に「健康上の理由」でいったん辞任し、中央委員会副議長に就任したが1989年(平成1)に復帰、2000年(平成12)11月に議長となった。早くから兄耕一郎とともに宮本顕治(けんじ)路線の理論的支柱であり、また党の顔として共産党の躍進に尽力した。2003年議員を引退。2006年党議長を退任。党付属の社会科学研究所所長に就任した。著書は多数あるが、1956~1957年に耕一郎との共著として発表した『戦後革命論争史』は党の批判を受け、1964年に絶版とした。
[伊藤 悟]
『不破哲三著『現代史のなかの日本共産党』(1992・新日本出版社・新日本新書)』▽『不破哲三著『不破哲三 時代の証言』(2011・中央公論新社)』