生まれてから死ぬまでに支払う税金や社会保険料などの国民負担が、世代間でどの程度違うのかという視点から財政のあり方を評価する仕組み。税制や社会保障制度などの公共政策が変わらないものとして、ある基準年を設け、世代別の「受益」と「負担」を推計する。税金、年金保険料、雇用保険料など政府に支払う「総負担額」から、社会保障などで政府から受け取る「総受益額」を差し引いた「純負担額」を算出。一生涯で得る所得で純負担額を割った「生涯純負担率」で世代間格差をみる場合が多い。
1990年代初めに、カリフォルニア大学バークリー校教授のアラン・アゥアバックAlan J. Auerbach(1951― )と、ボストン大学教授のローレンス・コトリコフLaurence J. Kotlikoff(1951― )らが発表した概念である。両教授を中心とした研究グループにより、1999年に主要国の世代会計(1995年基準)が発表され、日本の将来世代の負担が現在世代の負担の4.38倍に達することが判明した。これはイタリア(3.24倍)、アメリカ(2.59倍)、ドイツ(2.56倍)、フランス(1.96倍)などを上回っており、他の諸国と比べ日本は将来世代に多大な負担を強いていることになる。
内閣府は2005年度(平成17)時点で、生涯を通じた純負担額は60歳で約2460万円、0歳児は約3510万円、2006年度以降に生まれる将来世代は約1億0800万円(割引現在価値にして1億0500万円)に達すると試算している。この世代間格差の主因は日本の急速な高齢化であり、バブル経済崩壊後の景気対策による財政赤字の増大がこれに拍車をかけている。ただ世代会計の計算において、総受益額に公共サービスをどこまで含めるかなど、前提条件によって大きく数値が異なるのも事実である。
[編集部]
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