公的な保険制度で支払う保険料の総称。年金、医療、介護、労働などの種類がある。年金や医療保険は、勤める企業などによって加入する先が異なる。大企業に勤める会社員は厚生年金と健康保険組合に、中小企業の会社員は厚生年金と全国健康保険協会に加入する。自営業者や非正規労働者、無職の人などは国民年金、国民健康保険に入る。
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社会保険事業に必要な費用を賄うため,被保険者とその事業主が納入する負担金。社会保険拠出とも呼ばれる。社会保険料の納入は加入のみならず受給のための要件でもある。また,社会保険料の納入期間やその算定基礎となる賃金・俸給が,社会保険給付額の決定に当たって考慮されることが多い。社会保険料は被用者が被保険者である場合には,原則として事業主と被保険者によって分担される。分担割合は折半負担が一般的であるが,事業主負担のほうが大きい場合も少なくない。その極端なケースが事業主単独負担による場合で,労働者災害補償保険ではむしろ一般的な負担形態である。
社会保険料として賦課・徴収すべき金額は,社会保険収支に関する財政計算を基礎にして,必要な費用から社会保険料以外の収入を控除した額として決められる。医療保険や雇用保険(失業保険)などは単年度または短期の財政計算によって保険料が算定できるが,年金保険の場合には,一般に長期にわたって財政計算を行う必要がある。年金保険のもっとも重要な給付である老齢年金は,長期にわたる保険料の納入と一定年齢への到達が受給要件とされることから,給付費用が一定水準に増加するまでにはある程度長い期間を要する。そのため,年金保険の財政方式は幾種類かの方式のなかから選択することが可能である。大きく分ければ,単年度ごとまたは極めて短期間について財政均衡を保つよう設計される賦課方式と数十年という長期についての財政均衡を目ざす方式とに区別される。もちろん中間的な方式も可能である。長期財政均衡を目ざす場合,将来の給付費の支払にあてるため積立金が蓄積される。その場合全期間を通じて保険料率が一定に保たれるように決められるものを平準保険料といい,積立金の蓄積は促進される。それに対して給付費用の増加に対応させながら保険料率を引き上げていくものを段階的保険料といい,これによって平準保険料の場合と同額の財源を確保できるよう設計することも可能である。そのほか,加入年齢方式と呼ばれる財政方式において決められる数理的保険料がある。新規加入被保険者を標準的な被保険者とみなしてそれを対象に財政均衡を保つ方式である。
このような財政計算にもとづいて決められる社会保険料は,すべての被保険者についての平均保険料であり,この統一的な保険料(率)がすべての被保険者に適用されるのが社会保険の原則である。しかし,異なる保険料率が設定される場合がある。日本の厚生年金保険の例もそうであるが,より一般的には労災保険,まれには雇用保険にみられる。これら二つの社会保険ではメリット制と呼ばれる制度が採用され,産業や業種の災害や失業の発生実績に応じて保険料率に差が設けられる。このように危険の発生実績を基礎にして段階的に決められる保険料率を経験料率と呼ぶ。経験料率にもとづくメリット制を採用する目的は,負担の公平化と予防努力の促進の二つである。社会保険料は,すべての被保険者に対して均一額として決められる均一(フラット)保険料と,賃金・俸給などの所得に対する一定率として決められる所得比例保険料がある。均一保険料は,所得の把握が困難な自営業者に対して適用されることが多く,給付額も均一額とされる。所得比例保険料の算定基礎とされる所得の範囲は,国により制度により異なる。ボーナスや臨時給与を含めたすべての労働報酬を算定基礎とするものを総報酬制という。総報酬制をとる場合も含めて,一般に保険料算定の基礎とされる賃金・俸給等には上限額が設けられ,それ以下の部分だけが保険料の賦課対象とされる。その結果上限額を超える高所得者にとっては保険料負担率が実質的に低く,一方低所得者にとって定率の社会保険料は大きな負担になる。そのため,国により,また制度によっては,減免制度や事業主による肩代り制がとられる場合もある。
執筆者:保坂 哲哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[社会保障の財源]
社会保障給付費の増大についてその財源調達が大きな問題になる。社会保障の主要財源にあげられるのは租税と社会保険料であるが,このほかに受益者負担,積立金運用収入,借入金などもあげられる。租税は,社会保障から各個人の受ける便益(給付)に応じて徴収されるものではなく,各個人の負担能力に応じて賦課されるものである。…
※「社会保険料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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