中国の革命家、孫文(そんぶん/スンウェン)の墓。中山は孫文の号。孫文が1925年3月12日、自ら指導した国民革命のさなか北京(ペキン)に客死したが、蒋介石(しょうかいせき/チヤンチエシー)による北伐がひとまずなった27年6月1日、国民政府治下の南京(ナンキン)で国葬が行われ、29年南京郊外の紫金山の麓(ふもと)に北京より移葬された。陵墓は、1300余万アールの広さをもっており、青天白日旗を象徴する青瑠璃瓦(るりがわら)の屋根をもつ堂宇が山腹にそびえる大規模なもので、国民政府はここを聖域化することで自己の政権を権威づけた。国民政府は台湾に逃避(1949)後、台北に中山陵をつくったが、本物はいまでも南京にあり、中華人民共和国のもとで保存管理されている。
[安藤彦太郎]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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