中村大吉(読み)なかむら・だいきち

朝日日本歴史人物事典 「中村大吉」の解説

中村大吉(初代)

没年:文政6.3.22(1823.5.2)
生年:安永2(1773)
江戸中期,上方歌舞伎役者屋号天王寺屋,鳴尾屋。俳名巴丈。藤川友吉・2代目中村のしほの門弟。藤川大吉などの名で大坂の中芝居を勤め,中村大吉と改めて寛政12(1800)年江戸の森田座が大芝居の初舞台。三都で活躍し,死の前年には一世一代(引退興行)を勤めて若女形真上上吉に位付けされた。器量に恵まれ,口跡はあざやか,位のある気丈な芸ぶりで,とりわけ所作事,武道事が得意であった。愁い事もよくしたが表情こなしとも和らかみが足りず,娘役,傾城役よりも世話女房,女武道にすぐれ,丸本物(義太夫狂言)を本領とした。なお,役に応じた衣裳や鬘を工夫している。名跡は幕末期の4代まである。

(上野典子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村大吉」の解説

中村大吉(3代) なかむら-だいきち

1815-1857 江戸時代後期の歌舞伎役者。
文化12年生まれ。5代瀬川菊之丞(きくのじょう)の子。瀬川多門を名のり,江戸で若衆方,若女方をつとめる。上方にいき2代沢村其答(きとう)をつぎ,天保(てんぽう)11年江戸で2代中村富十郎の養子となり3代中村大吉を襲名。安政4年11月11日京都の楽屋死去。43歳。俳名は鳴尾。屋号は浜村屋,八幡屋。

中村大吉(初代) なかむら-だいきち

1773-1823 江戸時代後期の歌舞伎役者。
安永2年生まれ。上田秋成(あきなり)の従弟といわれる。藤川大吉と名のり大坂で修業。のち中村姓にあらため,寛政12年江戸森田座で初舞台。容姿,口跡(こうせき)がよく,女方で名をあげた。文政6年3月22日死去。51歳。京都(一説に江戸)出身。別名は鳴尾弥太郎。俳名は巴丈。屋号は天王寺屋,鳴尾屋。

中村大吉(2代) なかむら-だいきち

?-? 江戸時代後期の歌舞伎役者。
京坂で活躍し嵐亀之丞と名のる。文政8年(1825)江戸へいき,中村大吉家の養子となり2代を襲名したが,11年旧名にもどした。娘役と女房役を得意とした。俳名は巴丈,珉升。屋号は鳴尾屋,嶋田屋。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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