日本大百科全書(ニッポニカ) 「主任制度」の意味・わかりやすい解説
主任制度
しゅにんせいど
学校経営を進めるうえで、教育活動が円滑かつ効果的に展開されるために導入された校内組織運営の制度。日本の学校では、明治30年代以降、学校運営上の必要性から、教務主任・学年主任等の主任が、自然発生的に設置されてきた。それが1975年(昭和50)に学校教育法施行規則の一部改正によって制度化された。それにより、学校運営の充実と能率化を目ざし、さまざまな名称の主任のうち「全国的に共通した基本的なもの」(教務主任・学年主任等)について、設置と職務内容が明確にされた。そのねらいは、「調和のとれた学校運営が行われるためにふさわしい校務分掌の仕組みを整える」ことである。しかし、管理職と異なり、ほかの教諭に対する指揮監督権はもたないこと、「職」として設置されていないことなどの機能的な問題点があった。そこで、2007年(平成19)に学校教育法が改正され、主幹教諭の制度が導入された。その職務は、校長・副校長・教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、ならびに児童・生徒の教育をつかさどることとされている。
制度化から45年以上を経て、主任に求められる役割は、分掌部門の(1)企画・立案(2)連絡・調整(3)指導・助言等があげられる。主任には、教員の年齢構成の変化や多忙化のなかで、学校経営における実質的な推進役でスクールリーダーの一翼を担う存在として、課題解決に取り組むことが期待されている。
[吉田尚史・浜田博文 2023年3月17日]
『牧昌見著『学校経営の基礎・基本』新装版(2006・教育開発研究所)』