学校教育法に基づき、小・中学校等に置かれる職位。校種により、副園長・副校長を置く場合は、必置ではない。職務として、校長(および副校長)を助け、校務を整理し、必要に応じて児童・生徒の教育をつかさどる(学校教育法第37条7項、中学校等にも準用)。さらに、校長(および副校長)に事故があるときや欠けたときは職務を代理または代行する(同条8項、中学校等にも準用)。これらの教頭の職務権限は、校長補佐権、校務整理権、代理・代行権の三つに分類できる。
明治以降、学校規模の拡大などに伴い、校長の補佐役として学校に置かれていた職であったが、戦後、法令上に位置づけられたのは、1957年(昭和32)の学校教育法施行規則一部改正によってである。ただし、この改正では「教諭を以(も)って、これにあてる。」とされたため、職務権限や身分の位置づけが明確でなかった。1974年、教頭を独立した職として法令上明確に位置づけるため、学校教育法の一部が改正され、職務が規定された。
教頭は、校長が校務をつかさどる補佐として校務の整理を行うため、学校組織内外の多面的な調整役を担う。そのため、他の職位と比べても勤務時間が長い現状がある。文部科学省「教員勤務実態調査」(2016)によれば、教頭の勤務時間が他職位に比べてもっとも長く(小・中学校ともに1日12時間超)、2006年(平成18)調査から勤務時間が増加しており、多忙の緩和が課題である。
[髙野貴大・浜田博文 2023年3月17日]
学校教育法に定められている職名の一つ。第2次大戦前には〈小学校主席教員〉という名称は使われたが,教頭職が制度上確立したのは,1941年の国民学校令においてである。それによると,教頭は〈訓導ノ中ヨリ之ヲ補ス〉ものとされ,その職務は〈学校長ヲ輔佐シ校務ヲ掌ル〉と規定されていた。戦前はこのように,皇国民錬成の教育をすすめるための上意下達機関のひとつとして教頭は位置づけられていた。戦後,法律上の職としての教頭職は廃止された。57年の学校教育法施行規則,国立学校設置法施行規則(いずれも文部省令)の改正によって教頭を置くことが認められたが,行政立法による教頭制ということもあり,当時は,学校内の校務分掌のひとつであると説明された。しかし,60年からの管理職手当の支給をへて,74年の学校教育法改正によって,名実ともに法律上の職として位置づけられるにいたった。教頭は〈校長を助け,校務を整理し,及び必要に応じ児童の教育をつかさどる〉(学校教育法28条)ものとされている。
→校長
執筆者:牧 柾名
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