日本大百科全書(ニッポニカ) 「久瀬」の意味・わかりやすい解説
久瀬
くぜ
岐阜県西部、揖斐郡(いびぐん)にあった旧村名(久瀬村(むら))。現在は揖斐川町の中部を占める地域。旧久瀬村は、2005年(平成17)谷汲(たにぐみ)、春日(かすが)、藤橋(ふじはし)、坂内(さかうち)の4村とともに揖斐川町に合併。旧村域は揖斐川上流部にあたり、国道303号が通じる。かつて本流沿いの同国道には難所が多かったが、トンネルの開通により、岐阜・大垣への距離が短縮され、安全となった。地域の中心地東津汲(ひがしつくみ)の鎌倉踊と、三倉(みくら)に伝わる太鼓(たいこ)踊は、県指定重要無形民俗文化財。揖斐峡、揖斐高原は、揖斐関ヶ原養老国定公園の一部で、スキー場や温泉もある。近年、観光開発が図られている。地域の東北部小津(おづ)谷の奥部には、かつて揖斐谷各地を渡り歩いた木地師(きじし)の本拠地があった。
[上島正徳]
『『久瀬村誌』『久瀬村誌 史料編』(1973・久瀬村)』