改訂新版 世界大百科事典 「乳頭温泉郷」の意味・わかりやすい解説
乳頭温泉郷 (にゅうとうおんせんきょう)
秋田県東部,仙北市の旧田沢湖町にある温泉群。烏帽子(えぼし)岳(乳頭山,1478m)西斜面を下る先達(せんだつ)川上流の谷間にあり,鶴ノ湯,黒湯,孫六湯,蟹場(がにば),大釜,妙ノ湯の6温泉からなる。泉質は硫化水素泉,硫黄泉,単純泉などで,泉温は60℃前後が多く,湧出量はいずれも豊富である。これらの温泉は,仙北地方の農民を主とした農閑期利用の湯治場であるが,1952年田沢湖線田沢湖駅から直通バスが通じてから利用客が増大し,国民休暇村もできて温泉も近代化された。最近は冬季もバスが通じスキー客も少なくないが,豪雪のため冬季休業の温泉もある。十和田八幡平国立公園内では最も野趣に富む温泉郷である。
執筆者:北条 寿
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