五舎(読み)ゴシャ

デジタル大辞泉 「五舎」の意味・読み・例文・類語

ご‐しゃ【五舎】

平安京内裏にあった、女御にょうご更衣などの住む五つ殿舎昭陽舎淑景舎しげいしゃ飛香舎ひぎょうしゃ凝華舎ぎょうかしゃ襲芳舎しほうしゃのこと。

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精選版 日本国語大辞典 「五舎」の意味・読み・例文・類語

ご‐しゃ【五舎】

昔、禁裏にあった女御、更衣などの住む五つの殿舎。昭陽舎(しょうようしゃ)淑景舎(しげいしゃ)飛香舎(ひぎょうしゃ)凝華舎(ぎょうかしゃ)襲芳舎(しほうしゃ)の称。
花鳥余情(1472)一「淑景舎を桐つぼといふ。五舎の一なり」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五舎」の意味・わかりやすい解説

五舎
ごしゃ

平安宮内裏(だいり)にある後宮の五つの殿舎。中宮、女御(にょうご)などの居所。またそこに摂政(せっしょう)・関白の直廬(じきろ)(控室)が置かれたため、叙位・除目(じもく)なども行われた。内裏の北辺から東側に淑景舎(しげいさ)、昭陽舎(しょうようしゃ)、西側に襲芳舎(しゅうほうしゃ)、凝華舎(ぎょうかしゃ)、飛香舎(ひぎょうしゃ)と並び、どの殿舎も南向きであった。襲芳舎を除いて、中庭に植えた花や木の名をとった通称でよばれた。

[吉田早苗]

昭陽舎

(通称は梨壺(なしつぼ)。以下同じ) 東西5間、南北2間の母屋(もや)の四面に廂(ひさし)がある。庭に梨が植えられ、北に昭陽北舎をもつ。951年(天暦5)初めてここに和歌所(わかどころ)が置かれ、「梨壺の五人」が『後撰(ごせん)和歌集』の撰進を行った。

[吉田早苗]

淑景舎

(桐壺(きりつぼ)) 昭陽北舎の北にあり、大きさは昭陽舎と同じ。庭に桐が植えられ、北に淑景北舎をもつ。『源氏物語』の主人公光源氏の母はここを居所としたため、桐壺の更衣(こうい)とよばれた。

[吉田早苗]

飛香舎

藤壺(ふじつぼ)) 弘徽殿(こきでん)の西に位置し、清涼殿(せいりょうでん)とは渡殿(わたどの)で結ばれている。東西5間、南北2間の母屋の四面に廂、東西北に孫廂がある。庭に藤が植えられ、中宮などが住んだ。現在の京都御所には、平安内裏の様式を取り入れて1855年(安政2)に建てられたものがある。江戸後期には、女御が入内(じゅだい)するときの儀式の場であった。

[吉田早苗]

凝華舎

(梅壺) 母屋の大きさは飛香舎と同じ。四面に廂、東に孫廂がある。南庭に紅梅・白梅が植えられていた。

[吉田早苗]

襲芳舎

雷鳴壺(かんなりのつぼ)) 凝華舎の北にあり、大きさは昭陽舎、淑景舎と同じ。通称の由来は、庭に雷が落ちた木があったからなどといわれているが、明らかではない。

[吉田早苗]


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