寝殿造(しんでんづくり)で寝殿と対屋(たいのや)をつなぐ渡り廊下。渡廊(わたろう)、細殿(ほそどの)または単に廊ともいう。両側とも壁がなく、柱だけで吹き放ちのものを透(すい)渡殿という。透渡殿では高欄を両側につけるが、下に遣水(やりみず)が流れるものでは床(ゆか)を反橋(そりばし)のように反り上げてつくられる。一般に渡殿は梁間(はりま)1間であるが、梁間2間のものを二棟廊(ふたむねろう)という。天井の1間ごとに垂木(たるき)がかけられ、あたかも2棟を並べたような形になるのでこの名がある。二棟廊の場合は片側に蔀戸(しとみど)が吊(つ)られ、廊下としての性格のほか、細殿として部屋にも用いられる。
[工藤圭章]
寝殿造で,寝殿と対(たい)の間など,建物と建物の間をつなぐように建てられた建物。本来は,建物をいくつかつないで区画を形成する廻廊の一種であったが,のちに簀子(すのこ)縁を設け,ここを渡り廊下のようにして使うようになった。また,蔀(しとみ)や遣戸(やりど)で囲われた内部は,家族や女房の居所にも利用された。建具のない吹放ちになった渡殿は透(すき)渡殿という。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…(a)主人の居所である寝殿,家族の居所である対屋(たいのや)や庭園観賞のための釣殿(つりどの),泉殿(いずみどの),内向の施設である蔵人所(くろうどどころ),侍所(さむらいどころ),随身所(ずいじんどころ),車宿(くるまやどり),台盤所(だいはんどころ)など,独立した建築群から成り立っている。(b)それぞれの建物は廊または渡殿(わたどの)でつながれる。住宅の周囲には築垣(ついじ)を設けて外部と遮断し,出入口として四脚門または棟門を設ける(門)。…
…完成形または典型をどのようにとらえるかは異論もあるが,現在までは次のような説が有力である。まず敷地は方一町(約120m四方)で,主屋である寝殿を中心に,東および西,場合によっては北,北西,北東などに副屋である対(たい)(対屋(たいのや))を置き,これを廊(渡殿(わたどの))で結ぶ。東西対からは南に細長い中門廊が延び,その南端には釣殿を建てる。…
※「渡殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新