ことわざを知る辞典 「井の中の蛙」の解説
井の中の蛙
[使用例] 内紛と復讐に没頭して中央の政界から没落した水戸藩の人々は、全く井戸の中の蛙で、勤王家といえども、慶喜様がおやめになったと聞いて力を落すばかり、一体世の中がどうなるのか、見当がつかないで途方に暮れていたくらいですから[山川菊栄*武家の女性|1943]
[使用例] 講談社参りをしたのは、もちろん原稿の売りこみである。〈略〉ぼくは、すでに何冊かの単行本を出し、ことに「新宝島」は東京でもよく売れていたので、威風堂々(?)と社の玄関をくぐった。が、やはり井の中の蛙であった。「もう少し絵を勉強なさってください」と慇懃に断られた[手塚治虫*ぼくはマンガ家|1969]
[解説] 平安末期に漢籍から故事熟語を抜粋して編まれた「世俗諺文」に「
このことわざの場合、冒頭部が「井底」「井の中」「井のうち」「井戸の中」などと多様で、「蛙」も「かわず」のほか「かえる」と読むことも少なくありません。これは、他の漢文由来のことわざとは異なり、読み下し文として流布することがあまりなく、また井戸も蛙も日常的に身近だったので、多くの人が短い寓話としてそれぞれ自分なりのことばで伝承した結果と思われます。なお、「井」は、掘り抜き井戸をイメージしますが、本来は泉または
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