化学辞典 第2版 「亜ジチオン酸ナトリウム」の解説
亜ジチオン酸ナトリウム
アジチオンサンナトリウム
sodium dithionite
Na2S2O4(174.11).ハイドロサルファイトともいう.亜鉛末を冷水に懸濁させ,これに二酸化硫黄を通した後,水酸化ナトリウムで中和し,生じた水酸化亜鉛を濾過し,濾液に塩化ナトリウムを加えると二水和物が析出する.沈殿を含む液を60~70 ℃ に加熱すると無水物が得られる.[S2O4]2- の構造は,SO2-SO2型で,双方のSO2のO…Oはほぼ平行で両平面は約30°開き,S-S2.39 Å,S-O1.15 Å.二水和物は単斜晶系の結晶.無水物は粉末.密度2.37 g cm-3.いずれも無色.水に易溶.固体は乾燥空気中ではかなり安定であるが,湿気があるとNaHSO4とNaHSO3に酸化される.強い還元作用を示す.還元剤としてインジゴのような建染め染料による染色,絹,羊毛,繊維,麦ワラなどの漂白に用いられる.還元剤として染色工業で用いられるロンガリット(ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム)の製造原料として重要である.[CAS 7775-14-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報