家庭医学館
「交感性眼炎」の解説
こうかんせいがんえん【交感性眼炎 Sympathetic Ophthalmia】
[どんな病気か]
片方の目のけがや手術によって、虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)などのぶどう膜が、傷口から外界にさらされて炎症をおこした後、1か月あるいはそれ以上たって、反対側の健康な目に、原田病(「原田病(フォークト・小柳・原田病)」)とまったく同じ症状をおこす病気です。
[治療]
かつては、交感性眼炎の恐れがある場合や、健康な目に炎症がおこった場合は、けがをしたほうの目を摘出していました。しかし、原田病に準じたステロイド大量療法によって、眼球摘出を行なうことなしに治療できるようになっています。目のけがをした後は、眼科医の指示に従って、受傷していない目の定期的なチェックも必要で、異常を感じた場合はすみやかに眼科医の診察を受けてください。
出典 小学館家庭医学館について 情報
Sponserd by 
交感性眼炎
こうかんせいがんえん
一方の眼球が穿孔(せんこう)性外傷を受け、ぶどう膜が多量に損傷すると、多くは3~4週間(1年以内が90%)後に受傷眼のみならず非受傷眼にも原田病(ぶどう膜ばかりでなく、内耳、髄膜、皮膚、毛髪などが侵される全身病)に似た症状の現れることがある。これを交感性眼炎といい、受傷眼を起交感眼、他眼を被交感眼という。白内障や緑内障などの術後にもまれにおこる。受傷眼が化膿(かのう)すると交感性眼炎はおきない。発症は、外傷により障害されたぶどう膜色素(メラノサイト)に対して自己免疫機序が働くためと考えられている。受傷直後に手術用顕微鏡を使って傷口を完全に閉鎖すると、かなり予防できる。治療は早期発見と早期ステロイド療法であるが、やむをえず起交感眼の摘出を行うこともある。
[小暮美津子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
Sponserd by 
交感性眼炎
こうかんせいがんえん
sympathetic ophthalmia
一方の眼球に穿孔性外傷を受け,ブドウ膜が強く侵されたとき,受傷後約1ヵ月を経て健眼にも急性びまん性ブドウ膜炎が起る現象をいう。この場合,外傷を受けた眼を第1眼または起交感眼といい,他眼を第2眼または被交感眼という。受傷1ヵ月後に第1眼の炎症が再発,悪化すると同時に,他眼に軽い羞明,視力減退,毛様充血などの症状が出現し,重症の場合には線維素性ブドウ膜炎の症状が出る。古くは第1眼の早期摘出が最良の治療法といわれていたが,近年は,副腎皮質ホルモン剤の全身投与により,眼球摘出をせずに軽快する例が多くなってきている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の交感性眼炎の言及
【ぶどう膜(葡萄膜)】より
…なおベーチェット病と原田病は,人種間で発症頻度の異なるぶどう膜炎として知られ,日本では高率にみられる疾患である。
[交感性眼炎sympathetic ophthalmia]
片方の眼に穿孔(せんこう)性の外傷をうけたあと(起交感眼),他眼(被交感眼)とともに発症する両眼性ぶどう膜炎。とくにぶどう膜に対する損傷の結果,ぶどう膜を抗原とするアレルギー反応が原因で起こる。…
※「交感性眼炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 