惑星と同じように、太陽の周りを回る公転軌道に打ち上げられた人工物体をいう。世界最初の人工惑星は1959年1月2日にソ連が月に向けて打ち上げた探査機で、月から約6000キロメートルのところを通過したのち、太陽を回る近日点1AU(天文単位、太陽地球間平均距離のこと)、遠日点1.3AUの公転軌道に入り、「メチタ」(夢の意)と名づけられた。アメリカは同年3月3日にパイオニア4号を打ち上げ、月の近傍を通過後、近日点1AU、遠日点1.1AUの公転軌道をもつ人工惑星とした。この後、多くの惑星探査機が人工惑星の軌道をとりつつ、目的とする惑星の探査を行っている(水星、金星、火星、彗星(すいせい)探査機など、各項目参照)。
1974年12月10日に旧西ドイツが打ち上げたヘリオス1号は、太陽フレア、太陽風、惑星間空間磁場、宇宙線、黄道光、宇宙塵(うちゅうじん)などの観測を目的として、近日点0.2AU、遠日点0.3AUの公転軌道をとった。
1990年10月6日にESA(ヨーロッパ宇宙機関)とアメリカの共同プロジェクトとしてスペースシャトルを使って打ち上げられたユリシーズは、太陽を中心とし、地球公転面に垂直な軌道に投入され、1994年9月太陽の南極方向からの、1995年7月太陽の北極方向からの観測を行った。
2003年8月25日に、アメリカが打ち上げたスピッツァ宇宙望遠鏡は地球と同一公転半径の人工惑星軌道を地球から離れて公転することで、地球からの熱放射を避けて赤外線検知器を効率よく冷却している。2006年10月26日に、アメリカは太陽の立体視観測を目的として双子の太陽観測機ステレオを打ち上げ、月のスイングバイ(天体の重力を利用した軌道変更)を経て人工惑星軌道に投入した。さらにアメリカは2009年3月7日に、太陽系外地球型惑星の発見を目的として、ケプラー宇宙望遠鏡を人工惑星軌道に打ち上げた。同機はスピッツァ宇宙望遠鏡と同様に、地球と同一公転半径の人工惑星軌道を地球と離れて公転することで、長期間にわたり恒星を地球に掩蔽(えんぺい)(他の天体を覆い隠すこと)されずに観測し続けて、わずかな光量の変化をとらえ、地球型惑星の影を検出する方式をとっている。
2010年5月21日に、日本は太陽光圧を推進力とする宇宙ヨット型推進機構ソーラーセイル(太陽帆)の実証実験を目的とするイカロスを金星探査機「あかつき」との相乗りで打ち上げ、人工惑星軌道に投入して世界初のソーラーセイル推進に成功した。
[輿石 肇・岩田 勉]
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…人工的に打ち上げられた地球周回の衛星や他天体の孫衛星,惑星間探査機の総称。通例,地球周回の衛星は単に人工衛星といい,その他の惑星間探査機を人工天体,あるいは人工惑星artificial planetと呼ぶことが多い。地球表面においては約11.2km/s以上の速さ(第二宇宙速度)で打ち出すと,その軌道は地球周回軌道とはならず,地球を脱出する軌道となる。…
※「人工惑星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...
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