人工天体(読み)ジンコウテンタイ(英語表記)artificial celestial body

デジタル大辞泉 「人工天体」の意味・読み・例文・類語

じんこう‐てんたい【人工天体】

人によって宇宙に送り出された物体総称人工衛星宇宙船宇宙探査機などを指す。

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改訂新版 世界大百科事典 「人工天体」の意味・わかりやすい解説

人工天体 (じんこうてんたい)
artificial celestial body

人工的に打ち上げられた地球周回の衛星や他天体の孫衛星惑星間探査機の総称。通例,地球周回の衛星は単に人工衛星といい,その他の惑星間探査機を人工天体,あるいは人工惑星artificial planetと呼ぶことが多い。地球表面においては約11.2km/s以上の速さ(第二宇宙速度)で打ち出すと,その軌道地球周回軌道とはならず,地球を脱出する軌道となる。地球の引力圏は太陽に対してはおおよそ半径100万kmの球形であり,第二宇宙速度以上の速さで打ち出された人工衛星は,この引力圏を脱け,太陽周回の楕円軌道に乗ることになる。これは地球などの惑星と同様の軌道であるので,人工惑星と呼ばれる。世界最初の人工天体(人工惑星)は,1959年ソ連(現ロシア)が打ち上げた月探査機ルナ1号である。その後,米ソにより金星火星水星などの比較的近距離の内惑星探査機が打ち上げられたが,最近では,アメリカのパイオニア,ボエジャー,ガリレオといった遠距離外惑星探査の人工天体が有名である。ボエジャー型の人工天体は,その軌道設計が,複数の惑星の引力を利用して径路を変更するスイングバイswing-byという方法を用いており,木星土星天王星を探査した後,ついには太陽系を離脱するエネルギーを得,太陽系全体と同様,銀河系へと飛行する予定である。
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百科事典マイペディア 「人工天体」の意味・わかりやすい解説

人工天体【じんこうてんたい】

人工的に打ち上げられた衛星や惑星探査機の総称だが,地球を周回するものは人工衛星といい,その他の惑星探査機を人工天体,あるいは人工惑星と呼ぶことが多い。第二宇宙速度以上の速さで打ち出された物体は太陽周回の楕円軌道に乗り,人工惑星となる。世界最初の人工惑星は1959年ソ連が打ち上げた月探査機ルナ(1号),日本では1985年のハリー彗星探査機〈さきがけ〉が最初。→宇宙速度惑星探査機

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世界大百科事典(旧版)内の人工天体の言及

【天体】より

…地球も惑星の一つとして天体と考える。太陽,惑星,衛星,小惑星,すい星などは太陽系の天体であり,人工衛星や人工惑星は人工天体という。恒星,星団,星雲,銀河などは太陽系外の天体である。…

※「人工天体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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