人格検査 (じんかくけんさ)
personality assessment(test)
人格を種々の観点から測定,診断する方法の総称。心理検査の一種。教育や産業,臨床上の目的により,指導や人事管理,精神疾患の鑑別などに用いられる。方法は多様で,測定される人格の側面も異なるが,大まかには投影法projective method(technique)とそうでないものに分けられる。人間は投影(投射)という自我防衛機制をもっているので,あいまいな刺激の提示により,その人の要求や葛藤を把握し人格の理解に迫ることが可能になる。これが投影法であり,(1)視覚刺激法によるTAT,ロールシャハ・テスト,(2)言語刺激法による文章完成法,言語連想法,(3)表現活動による描画法,P - Fスタディ,モザイク・テストなどがある。投影によらないものは客観的テストといわれ,統計的な標準化がその基準として理論を支えており,以下のようなものがある。(1)自己報告法 質問紙法ともいわれ,多数の項目について本人の行動,意見,感情などの判断を求めるもので,代表例としてミネソタ多面人格目録があげられる。(2)他人評定法 ソシオメトリー,ゲスフー・テストなどがある。(3)作業検査法 一定の作業結果により人格を診断するもので,内田=クレペリン作業検査(クレペリン・テスト),ダウニー=桐原意志気質検査などがある。(4)実験心理学的方法 実験的手法を用いて,たとえば感情の生理的変化をみるもので,皮膚電気抵抗(PGR)により感情や緊張の程度を調べるもの。筆圧により気質を推定したり,指頭打叩により精神テンポを測定するものなどもある。
→心理検査
執筆者:秋谷 たつ子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の人格検査の言及
【心理検査】より
…検査という時それは一つの道具をさすのだが,心理検査においては,それを用いて解釈する検査者の能力に大きく依存しており,対象の理解や問題の解明,精神力動の把握は,単なる面接によるよりも正確で詳細な情報が得られるものと期待されている。大きく分類すると[知能テスト]と[人格検査]に分けられ,いずれにも個人法と集団法とがある。 1904年スピアマンが一般知能の考え方を提案し,05年にビネA.BinetとシモンT.Simonが史上最初の知能テストをパリで発表し,同年ユングが言語連想テストを公表した。…
【ソンディ・テスト】より
…ハンガリー生れの精神医学者ソンディL.Szondiによって1947年に創始された人格検査。独自の深層心理学説(運命心理学)に基づいて,家族的無意識の動機づけられた性質と衝動病理の解明を意図するもの。…
【TAT】より
…主題(絵画)統覚検査と訳されている投影法形式の[人格検査]。thematic apperception testの略称。…
【P‐Fスタディ】より
…ワシントン大学のローゼンツワイクS.Rosenzweigが欲求不満―攻撃理論の解明から出発し,1945年に公刊した人格検査。日常だれもが遭遇するような欲求不満の24場面が漫画風に描かれたものが与えられ,人物の会話から答え手が欲求阻止にどのように対応するかにより人格を査定する。…
【文章完成法】より
…略称SCT。1897年エビングハウスH.Ebbinghausが文脈の論理構成力から知能を測定しようとして考案したといわれるが,[人格検査]として試みたのは1928年のペインA.F.Payneが最初。型式や分析法はいろいろあるが,被検者の現実行動とのずれが少なく,実施の簡便さと集団法の可能なことが,このテストの利点である。…
【ロールシャハ・テスト】より
…スイスの精神科医ロールシャハHermann Rorschach(1884‐1922)が1921年に発表した投影法の[人格検査]の一つ。よき援助者オーバーホルツァーE.Oberholzerの努力により最初に英語に翻訳され(1924),レビD.Levyによりアメリカに伝えられて,ベックS.J.Beckその他のアメリカの学者により理論的に展開され,ベック法,クロッパー法は二大教本として世界に普及,このテストは今日では投影法人格検査の代名詞になっている。…
※「人格検査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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