TAT(読み)てぃーえーてぃー(英語表記)thematic apperception test

日本大百科全書(ニッポニカ) 「TAT」の意味・わかりやすい解説

TAT
てぃーえーてぃー
thematic apperception test

主題統覚検査または絵画統覚検査と訳され、わが国でも広く用いられている。マレーH. A. Murrayを中心とするハーバード大学の研究グループが考案した代表的な投影法一種で、いくぶんあいまいな絵画を見せて、そこに描かれている人物や状況から想像による物語をつくらせ、その内容におのずと現れるその人独自の人格特性を把握しようとする方法である。

 マレーの基本構想は、そうした物語のなかで、被検者が自分と同一視していると思われる主人公heroが示す欲求needと、そうした欲求を促進したり阻止したりする形で環境が働きかける圧力pressとの関係によって、その物語に備わる主題themeを把握し、さらに物語の結末の幸・不幸、登場人物の示す感情調などにも注目して、被検者の人格特性を分析する、というものである。その後、ワイアットF. Wyatt、ベラックL. Bellakなどによって独自の分析方法が提起されている。

 また、ある程度具体的に人物や場面を描いた絵画を用いるので、適用する対象目的に応じて異なる絵が必要であり、ハーバード版でも最初成人男子用20枚であったが、のちに女性用、少年・少女用、臨床用などの差し替え用カードが加えられたし、限定された目的のためのシリーズ、異なる文化圏での独自のシリーズなどがつくられた。わが国でも、早稲田(わせだ)大学版「絵画統覚検査」などの日本版が用いられている。現在では一般に、こうした変法を含めてTATとよんでいる。

[冨田正利]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「TAT」の意味・わかりやすい解説

TAT
ティーエーティー

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