生没年不詳。仏徹とも書く。8世紀の僧。林邑(りんゆう)国(ベトナム)の人で、南天竺(てんじく)(インド)に入って菩提僊那(ぼだいせんな)に師事し、密呪(みつじゅ)に通じた。中国、唐の開元年間(713~741)に菩提僊那に誘われて入唐(にっとう)し、736年(天平8)菩提僊那および道璿(どうせん)に同行して来日した。その後、大安寺に住んだが、来日の際、多くの密教典籍と、菩薩(ぼさつ)舞、抜頭(ばとう)舞、林邑楽などを伝えた。東大寺の大仏開眼供養には雅楽の師となり、舞を伝習せしめた。著作に『悉曇章(しったんしょう)』1巻がある。
[二葉憲香 2016年12月12日]
仏徹とも。生没年不詳。奈良時代の渡来僧。林邑(りんゆう)国(インドシナ半島南東部)の出身。天竺(てんじく)(インド)僧の菩提僊那(ぼだいせんな)に従って唐におもむき,日本の入唐僧理鏡らの招請に応じて736年(天平8)に菩提僊那や唐僧の道璿(どうせん)らと来日。大安寺に住して菩薩・抜頭などの舞や林邑楽(りんゆうがく)を伝えた。752年(天平勝宝4)の東大寺大仏開眼供養会でも雅楽の師として舞を伝授。多くの密教経典を将来したという。著書「悉曇(しったん)章」。
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…《安摩》だけ独立して舞われることはほとんどなく,《二ノ舞》と続けて舞われ,《二ノ舞》は《安摩》の答舞の型となっている。天平のころ,林邑(今のベトナム)の僧仏哲が伝えたものを,承和年間(834‐848)に大戸清上が改作したといわれる。演奏次第は,壱越調調子・音取―乱序(鹿婁(ろくろ)乱序といい,これ以下,笛と打物のみで奏する。…
…このころ雅楽大属であった尾張浄足(おわりのきよたり)その他によれば,当時雅楽寮所轄の国風歌舞は久米舞,五節舞,田舞,楯臥舞,筑紫舞,諸県舞の6種目であった(《令集解》《続日本紀》)。このあと736年(天平8)には婆羅門僧正,仏哲らが来日して林邑楽が伝えられ,勅命により,もっぱら大安寺において伝習された(《東大寺要録》)。これが雅楽寮に編入されたのは平安時代,809年(大同4)3月のことである(《令集解》《類聚三代格》)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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