それ自体現実的でないにもかかわらず、現実的であるかのような「見かけ」を示すものをさす用語。一方でまったく現実を離れた幻想あるいは幻覚と、他方で現実と結び付いた現象と区別されるが、それぞれの境界は、かならずしも明瞭(めいりょう)ではない。何を仮象とみるかは、それに対立する現実的なものとして何を考えるかによって決まり、したがって、その場面に応じて、さまざまな仮象が考えられる。
知覚の現実的対象に対するものとしては心理的仮象が、日常生活の現実に対するものとしてはシラーの説く美的仮象が、人間理性の限界に対してはカントの説く超越論的仮象などが、その例としてあげられる。仮象は、このように、それぞれの場面に応じて、すでになんらかの意味で定められた現実からの逸脱として負(ふ)の評価を受けるか、それとも現実を超えた理想的価値を志向するものとして正の評価を受けるかするのである。
[坂部 恵]
『カント著、篠田英雄訳『純粋理性批判』(岩波文庫)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加