デジタル大辞泉
「仮象」の意味・読み・例文・類語
か‐しょう〔‐シヤウ〕【仮象】
《〈ドイツ〉Schein》実在的対象を反映しているように見えながら、対応すべき客観的実在性のない、単なる主観的な形象。仮の形。偽りの姿。
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か‐しょう‥シャウ【仮象】
- 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Schein の訳語 )
- ① 実在そのままではなく、その仮のあらわれ。仮象説としてカントに発し、シラーを経てハルトマンによって確立された。
- [初出の実例]「穉き実際主義真ならば、審美上の仮象(映象)と物の実との別は立たざるべし」(出典:審美論(1892‐93)〈森鴎外〉二)
- ② 客観的実在性を欠いた主観的な思考物。
- [初出の実例]「夢幻的な間に合せの仮象を放逐して永遠な実在の中核を把握したと思はれる事」(出典:春六題(1921)〈寺田寅彦〉一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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仮象
かしょう
appearance 英語
apparence フランス語
Schein ドイツ語
それ自体現実的でないにもかかわらず、現実的であるかのような「見かけ」を示すものをさす用語。一方でまったく現実を離れた幻想あるいは幻覚と、他方で現実と結び付いた現象と区別されるが、それぞれの境界は、かならずしも明瞭(めいりょう)ではない。何を仮象とみるかは、それに対立する現実的なものとして何を考えるかによって決まり、したがって、その場面に応じて、さまざまな仮象が考えられる。
知覚の現実的対象に対するものとしては心理的仮象が、日常生活の現実に対するものとしてはシラーの説く美的仮象が、人間理性の限界に対してはカントの説く超越論的仮象などが、その例としてあげられる。仮象は、このように、それぞれの場面に応じて、すでになんらかの意味で定められた現実からの逸脱として負(ふ)の評価を受けるか、それとも現実を超えた理想的価値を志向するものとして正の評価を受けるかするのである。
[坂部 恵]
『カント著、篠田英雄訳『純粋理性批判』(岩波文庫)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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仮象【かしょう】
英語appearance,ドイツ語Scheinなどの訳。現実あるいは実在に対する。実在するよに見えながら,それ自体は実在性をもたない形象のこと。思惟(しい)によってとらえられるものを実在とする立場では感覚的世界は仮象。現象と同義に用いられることもあるが,カントは経験的実在性をもつ現象に対して,仮象はまったく主観的な表象にもとづくものとして区別した。
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