企業立地促進法(読み)きぎょうりっちそくしんほう

共同通信ニュース用語解説 「企業立地促進法」の解説

企業立地促進法

地方産業を呼び込むため2007年に施行された。地域成長をけん引する産業として承認されれば、税制面などで優遇される。これまで制度支援を受けた事業は約6千件に上るが、対象業種を限定していたため9割以上が製造業。サービス業中心産業構造が変化する中、制度が実態にあっていないと見直しの必要性が指摘されていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「企業立地促進法」の意味・わかりやすい解説

企業立地促進法
きぎょうりっちそくしんほう

2007年(平成19)から2017年まで存在した地方への企業立地を促す法律。正式名称は「企業立地の促進等による地域における産業集積形成及び活性化に関する法律」(平成19年法律第40号)。ハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・ポーターMichael E. Porter(1947― )が提唱した産業クラスター構想に基づき、日本各地に国際競争力のある産業集積地を育て、地域経済を活性化する目的で2007年に施行された。所管経済産業省。自治体や商工会議所などが産業集積戦略を盛り込んだ基本計画を策定し、国の同意を得る。この計画に沿って、企業が工場や事業所を新増設する企業立地計画や設備投資による事業高度化計画を策定し、承認を得られた計画を規制緩和、補助金交付、税制優遇などで支援する仕組みであった。2016年10月時点で全国191の基本計画が国の同意を得、2016年3月末で企業立地計画は3598件、事業高度化計画は2130件にのぼった。

 ただ日本の地域経済を支えてきた製造業の投資はリーマン・ショック前の水準に戻っておらず、非製造業の投資の4分の3は三大都市圏へ集中している。このため経済産業省は製造業支援が中心であった企業立地促進法を改正し、2017年7月、観光農業などの非製造業をも総合的に支援する地域未来投資促進法を施行した。なお2017年7月以前に、企業立地促進法に基づいて同意・承認を得た基本計画は計画期間満了までその効力を有する。

[矢野 武 2018年6月19日]

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