伊勢原市(読み)イセハラシ

デジタル大辞泉 「伊勢原市」の意味・読み・例文・類語

いせはら‐し【伊勢原市】

伊勢原

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「伊勢原市」の解説

伊勢原市
いせはらし

面積:五五・七二平方キロ

県のほぼ中央部に位置し、北・東は厚木市、南は平塚市、西は秦野はだの市に接する。北西部には丹沢たんざわの険しい山岳が続く。西端には雨降あふり山の別名で知られる大山(一二五一・七メートル)浅間あさま(六七九・六メートル)高取たかとり(五五六・三メートル)などが連なる。また大山山系に源を発するすず川が山間を流れ上粕屋かみかすや扇状地さんみやで氾濫原を形成。北の日向ひなた西富岡にしとみおかの丘陵地、東の石田いしだ高森たかもりの丘陵地、中央の伊勢原台地の間を渋田しぶた川・うた川が流れ、東南に低原が広がる。気候はほぼ温和で、蜜柑・梨・葡萄・柿などが栽培されている。市域北西部の山間地は、丹沢大山国定公園に指定されている。

〔原始〕

縄文時代早期の遺跡が三ノ宮付近にみられ、比々多ひびた神社境内から尖底土器、三ノ宮の尾根山おねやまから田戸式土器が出土、同地には中期の遺跡もみられる。後期遺跡は伊勢原台地の西部東大竹ひがしおおだけ八幡台はちまんだい遺跡、三ノ宮に下谷戸しもやと遺跡がある。弥生時代の遺跡は北・東部にみられ、昭和初年に小田急線の線路工区内の高森から小金塚こがねづか住居跡、同三五年(一九六〇)に西富岡の道替戸みちかえとから竪穴住居跡が発掘されたが現在残っていない。古墳時代の遺跡は三ノ宮一帯に集中しており、横穴式石室登尾山とおのやま古墳、尾根山おねやま古墳群などがあるがそのほとんどが破壊された。日向の新田しんでんには同三五年に発見された六世紀頃と推定される円墳さんせ塚古墳があったが道路工事により消滅した。

〔古代〕

市全域が大住おおすみ郡に属し、「和名抄」記載の郷では日田ひひたくしはし渭辺ぬまべ石田いしだの四郷が含まれる。「延喜式」(兵部省)にみえる東海道相模国駅馬の「箕輪」駅は笠窪かさくぼ付近に比定され、また諸国馬牛牧の相模国「高野たかの馬牛牧」の馬牧を池端いけばた、牛牧を沼目ぬまめと、伊勢原台地の東部に比定する説がある。また「和名抄」に「国府在大住郡」と記され、国府を市西南部に比定する説もある。

「延喜式」神名帳記載の大住郡四座のうち「阿夫利アフリノ神社」「高部屋タカヘヤノ神社」「比比多ヒヒタノ神社」の三座が集中する。このうち阿夫利神社のある大山は相模の山岳信仰の中心地。雨降山大山たいさん寺は良弁の開基、天平勝宝七年(七五五)に聖武天皇の勅許を受けて伽藍・房舎・僧堂などが建てられたという。行基の開基と伝える日向の薬師堂(通称日向薬師)は眼病に霊験ありとされ、歌人の相模も参籠している。

〔中世〕

建久三年(一一九二)八月九日、源頼朝は妻政子の出産にあたり、安産祈願のため相模国内の神社に神馬を奉納、寺では誦経を行った。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊勢原市」の意味・わかりやすい解説

伊勢原〔市〕
いせはら

神奈川県中部,相模平野の北西部から丹沢山地の大山の南東斜面を占める市。 1954年伊勢原町,大山町,高部屋村,比々多村,成瀬村,大田村が合体。 56年岡崎村の一部を編入。 71年市制。地名は伊勢国の住人の開墾地であることに由来するといわれる。縄文時代からの遺跡が多く,山麓の三ノ宮は平安初期に相模国の国府がおかれた地といわれ,相模三宮の比々多神社がある。中心市街地の伊勢原は扇状地上に発達した市場町で,江戸時代には矢倉沢往還宿場町,大山阿夫利神社の参詣基地としてもにぎわった。現在も8月 27~29日の大祭には,門前集落大山に向う白衣の登山者があふれる。小田急電鉄小田原線,国道 246号線が通り,伊勢原内陸工業団地の造成や八幡台および東高森住宅団地の建設に伴い,人口が増加。農村部では果樹栽培が行われる。大山の東斜面にある日向薬師の宝城坊は行基の作といわれる鉈彫りの薬師三尊をはじめ,多数の重要文化財を蔵する。上粕屋は中世の糟屋庄で,太田道灌の墓がある。市南部東大竹には伊勢原八幡台石器時代住居跡が史跡として残されている。市域の一部は丹沢大山国定公園に属する。市域西部を国道 271号線,小田原厚木道路が通る。面積 55.56km2。人口 10万1780(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android