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伸銅工業 しんどうこうぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

伸銅工業
しんどうこうぎょう

銅および銅合金の圧延加工生産を行う産業。おもに銅,黄銅青銅洋白などの板,条,管,棒,線を製造する。伸銅品は導電性,耐食性,切削性が良好であるため,電気機械器具,建設,日用雑貨にいたる広い分野に利用されている。長い歴史をもった伝統産業的な側面もあるが,近代工業としても明治以来日本の産業発達の中心の一つとして発展してきた。近時は電子工業を中心とした新素材や高付加価値製品の開発研究が進められているが,品種が多く工程も多様なため多くの中小企業を包含している。企業数は現在約 90社といわれ,その8割が中小企業であるが生産量は世界でも高い水準にある。経営基盤は装置産業であることなどから過当競争体質となっており,合理化,品質の向上,市場開拓などの企業体質の強化を進める企業が多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんどうこうぎょう【伸銅工業】

銅を圧延加工することを伸銅といい,それによって生産される製品が伸銅品,伸銅品を生産する産業が伸銅工業である。伸銅品は,板,棒,条(板状のテープ),線,パイプなどに分けられる。なお電線は伸銅品に含めない。日本では,銅を手でたたいて伸ばす方法(手打ち伸銅)を用いた時代から水車を利用する時代に至る,伝統産業的な長い歴史がある。近代的設備による近代工業としての伸銅工業は,1870年(明治3)大阪造幣局で蒸気機関を使ってロール圧延したことに始まる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

伸銅工業
しんどうこうぎょう

銅および銅合金(黄銅、青銅、洋白、特殊合金)を圧延加工し、板、条、管、棒、線などの伸銅品を製造する工業をいう。日本では伸銅の歴史は長く、奈良・平安の仏教文化に始まり、手打ち伸銅から水車利用の時代を経て、1870年(明治3)の大阪造幣局のロール圧延が近代工業としての出発点である。
 伸銅品は、展延性、絞り加工、溶接性、耐食性、とくに電気・熱の伝導性に優れているため、古くから美術工芸、建築用材(屋根板など)に利用され、近代工業の導入とともに機械工業、とくに電気・精密機械の部品材料としてその特性が活用され、最近では端子、コネクター、半導体リードフレーム用などエレクトロニクス関連向け需要が大幅に伸びている。
 生産量は終戦前のピークである1944年(昭和19)の13万トンに対し、戦後、高度成長期の機械工業の発展、耐久消費財の増加によって、73年(昭和48)には79万トンに急増し、アメリカ、旧ソ連に次ぐ世界第3位の生産国となった。同年末の石油危機以降、生産は50万トン台に急減・低迷したが、78~79年にかけてクーラー、建材、エレクトロニクス、輸出などの需要の拡大によって87万トン台に回復した。80年代には、第二次石油危機に伴う需要構造の変化(軽薄短小化)によって、生産量は減少傾向をみせていたが、83年以降、エレクトロニクス、弱電、自動車などの堅調な需要を反映し、83年88万トン(アメリカ107万トン、旧ソ連91万トン)、84年には100万トン、91年(平成3)の125万トンをピークに景気後退の影響を免れなかったが、その後漸増し、96年にはアメリカ(160万トン)に次いで2位(119万トン)となり、以下ドイツ(98万トン)、イタリア(79万トン)の順である。合金種別の生産割合は、銅と黄銅がほぼ拮抗(きっこう)し、9割以上を占め、微減増しているが、品目としては電気機械、とくに電子機械部品に使用されている各合金の条の伸びが著しい。黄銅製品では自動車ラジエーターのアルミ化の影響が今後大きくなるものとみられる。輸出はおもにアメリカ、中国、東南アジア(ここでの日本製品の占める割合は87%)向けに20万8000トンで、とくにマレーシア(5万5000トン)、香港(ホンコン)(4万5000トン)、中国(3万3000トン)の順で、台湾がこれに次いでいる。立地的には関東、関西に8割近い事業所が集中し、大手企業もこの地域に多い。黄銅製品には水栓・ガス機器が含まれ、中小企業メーカーが多い。[殿村晋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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