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低温用鋼 ていおんようこうcryogenic steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

低温用鋼
ていおんようこう
cryogenic steel

宇宙開発や超伝導応用などの先端技術分野では,極低温域 (-250℃以下) で十分な機械的性質を有する構造用鋼 (低温用鋼) が要求される。は常温では粘りのある壊れ方 (延性破壊) をするが,低温になると粘さ (〈じん〉性) が急激に低下し岩石のようにもろくなる。鉄がこのような性質を示すのは,鉄の結晶がサイコロの角と体心に原子がある構造 (体心立方構造) をとることに関係している。低温でも延性が期待される原子配列は,サイコロの角とそれぞれの面の中央に原子がある面心立方構造である。鉄に添加元素を加えて面心立方構造をとるようにしたのがオーステナイト系ステンレス鋼 (304など) である。天然ガス,石油ガスなど低温液化ガス用タンクなどには,極低温でももろくならず,しかも熱を伝えにくい9%ニッケル鋼が用いられている。これは,ステンレス鋼の約3倍もの耐力がある。ニッケルの一部をマンガンで置換したもの,ニッケルのほか,モリブデン,チタンを添加して高強度で靭 (じん) 性が優れ,溶接性のよいステンレス鋼が,日本で開発されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ていおんようこう【低温用鋼】

JISでは-10℃以下の温度域での使用に適した鋼材と規定している。構造用材料に要求される最も重要な性質である靱性(じんせい)は材料の結晶構造に大きく依存する。アルミニウムやオーステナイト鋼のような面心立方構造の金属は低温でも靱性を損なわないが,普通鋼や低合金鋼などの体心立方構造の材料はある温度域(脆性(ぜいせい)遷移温度)以下では急激に靱性が低下する性質(低温脆性)があるために,低温用鋼の指定が必要となる。

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世界大百科事典内の低温用鋼の言及

【高張力鋼】より

…70キロ級以上のものはほとんど調質されており,ケイ素,ニッケル,マンガンなどが添加されている。
[低温用鋼]
 液体窒素温度以下の極低温でも靱性を有する鋼。鋼の組織の主体であるフェライトは温度が低くなると,へき開面に沿ってほとんど塑性変形することなく破壊する低温脆性(ぜいせい)を有している。…

※「低温用鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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