高張力鋼(読み)こうちょうりょくこう(英語表記)high strength steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高張力鋼
こうちょうりょくこう
high strength steel

軟鋼に合金元素を少量添加して強さを高めた低合金鋼ハイテン鋼とも呼ばれ,世界各国において研究されている合金鋼で,日本の技術は欧米よりはるかに進歩しているといわれる。強さ別に 50kg/mm2,60kg/mm2,80kg/mm2,100kg/mm2程度のものに分れている。 60kg/mm2以上のもので焼入れ焼きなましをしたものは調質高張力鋼として降伏比が高く,溶接性がよいので,高圧容器,橋梁,建築などに広く用いられる。関門橋本州四国連絡橋には溶接したこの鋼材が多く用いられている。

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百科事典マイペディアの解説

高張力鋼【こうちょうりょくこう】

一般の鋼材よりも引張強さ(抗張力)が高く溶接性のすぐれた鋼材。ケイ素,マンガンなどを少量添加した鋼に,焼入れ焼戻しなどの熱処理を加えたもので,50キロ級(50kgf/mm2),60キロ級など引張強さのレベルで分類される。俗称ハイテン。造船,橋梁,球形タンクなどに利用。
→関連項目強靭鋼

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世界大百科事典 第2版の解説

こうちょうりょくこう【高張力鋼 high tensile steel】

俗称ハイテン。一般構造物の部材に用いられ,とくに引張強さ50kgf/mm2(≒490MPa)以上の高強度とある程度の延性とを有する強靱(きようじん)な鋼をいう。引張強さによって50キロ級,60キロ級,……のように分類される。この鋼は船舶外板,圧力容器パイプラインなどに使用されるため,低温靱性,溶接性,耐食性に優れていることが要求される。開発のもとになった鋼は炭素量0.2%の炭素鋼で,この鋼に対する熱処理,あるいは合金元素の添加などによって性能の向上がはかられた。

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大辞林 第三版の解説

こうちょうりょくこう【高張力鋼】

マンガンなどを添加したり、熱処理を行なって製した、引っ張りに対し強い鋼材。薄くても強度があり、自動車や船舶の軽量化を可能にする。ハイテン鋼。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高張力鋼
こうちょうりょくこう
high tensile strength steel

引張り強度(破断に耐える最大応力)が500~1000メガパスカル程度、降伏点(引張りにより塑性変形が突如始まるときの応力)が300メガパスカル以上の鋼板。低合金高張力鋼ともいう。俗称ハイテン。鋼の強さは炭素含有量の増加に伴い向上するが、溶接性が低下する。そこで炭素量を0.2%以下にして、マンガン、ケイ素、クロム、モリブデン、バナジウム、チタン、ニオブ、ホウ素などを少量添加した、溶接可能で靭性(じんせい)の高い鋼板、すなわち高張力鋼がつくられた。500~600メガパスカル級高張力鋼は熱間加工のままで使用されるが、700メガパスカル級以上の高張力鋼は赤熱状態から焼入れ後650℃付近で焼戻しを行って使用される。前者(非調質鋼)は比較的安価であり、橋梁(きょうりょう)、石油貯蔵タンクなどに多量に用いられる。後者(調質鋼)は産業機械、大型車両、都市ガスタンク、液化天然ガス貯蔵タンク、長大橋などに使用される。高張力鋼を使用すれば構造材の肉厚を薄くすることができるので、重量的にも空間的にもきわめて有利であるが、使用中腐食による危険が増す。リン、銅、クロムを添加してこの点を改善したものが耐候性鋼、耐海水鋼などである。液化ガス工業の発展に伴い、低温での靭性を改善する目的でニッケルやニオブを添加した低温用鋼が開発された。また2000年代に入り、厚鋼板をおもな対象として、従来鋼の2倍以上の強度や寿命の超鉄鋼材料ultra steelが開発された。[須藤 一]

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世界大百科事典内の高張力鋼の言及

【製鉄・製鋼】より

…しかし,これらの区別は必ずしも明確ではなく,共存する他元素の種類,濃度によっても変化する。強度を基準として,引張強さ50kgf/mm2以上のものを高張力鋼,以下のものを普通鋼とする分類もある。また使用原料(例,ヘマタイト銑),製錬法(例,木炭銑,高炉銑,平炉鋼),製品の特性または使用目的(例,磁石鋼,耐熱鋼),破面(例,白銑,灰銑)などが根拠となり,これらの分類を用いることが便利な場合もある。…

※「高張力鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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