被疑者・被告人が個々の質問に対して供述を拒むことができること。憲法第38条1項は、「何人(なんぴと)も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定して被疑者・被告人の供述拒否権を保障している。刑事訴訟法第198条2項は、被疑者の取調べに際して捜査官は「あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」と規定して被疑者の供述拒否権を具体化し、また、同法第311条1項も「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」として被告人の供述拒否権を具体化している。裁判長は、公判の冒頭手続で、被告人に対して、黙秘権、供述拒否権を告知しなければならないとされている(同法291条3項)。供述拒否権と黙秘権とは実質的な意味に違いはないが、黙秘権が被疑者・被告人が自らの意思で供述を拒む場合に用いられるのに対して、供述拒否権は具体的な供述を求められた場合にこれを拒む権利の意味で用いられている。なお、証人の供述は証言としての効力をもち、これを正当な理由なく拒むと過料、罰金または拘留に処せられるが、自己が刑事訴追を受けたり有罪判決を受けるおそれのある場合などには証言を拒むことができる(同法146条~149条)。これを証言拒絶権といい、供述拒否権とは区別される。
[内田一郎・田口守一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…自分が刑事責任を負わされるおそれのある事実について供述することを強制されない権利すなわち供述拒否権をいう。近代以前の刑事裁判では,被告人は真実を述べるのが当然とされ,拷問によって強制的に自白させることさえ許されていた。…
※「供述拒否権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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