価値とはなにか,それはどのようにして認識されるのか,価値と事実との関係,価値の体系や上下関係などについて研究する哲学で,ロッツェによって準備され,新カント学派の一つである西南ドイツ学派のウィンデルバントやリッケルトらによって樹立されたものである。19世紀後半以降第1次世界大戦の時期にかけて,ドイツで栄えた価値哲学は,そのころ顕著であった伝統的な価値観の崩壊現象や自然科学的唯物論,実証主義に対決しようとしていたこともあって,われわれが体験する現実の生と価値とを徹底的に対立させる二元論を根本原理とするものであった。そのため,真・善・美などの文化価値は,個別的でもあり変化するものでもある現実の生を超えていながら,しかも,それを基礎づける力を持った普遍妥当的なものであること,哲学はこうした文化価値を研究しなければならないこと,文化が実現する場所である歴史とそれを認識する歴史科学もこうした価値との関係から研究されねばならないことなどが主張された。だが,価値哲学は現実と価値とをこのように引き離したために,対立する二つのものが結びついて文化が生ずるのはなぜかの説明に窮してその無力をさらけ出し,しだいに衰えていくことになった。こうしたドイツ系の価値哲学とは対照的に,1920年代以降のアメリカでは価値と現実とを結びつけて考える新しいタイプの価値哲学が盛んになってきている。
執筆者:関 雅美
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