便器(読み)ベンキ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

便器
べんき

便所の付帯設備としての大小便容器の意味と、床上安静の病人や乳幼児の大小便を入れる容器(おまる、おかわ)の意味があるが、ここでは後者について述べる。便器には、ほうろう製、ステンレス製、ゴム製、合成樹脂製などのほか、使い捨てにする紙製のものもある。形としては、洋式便器とよばれる長円形のもの、和式便器とよばれる差し込み式のもののほか、丸形壺(つぼ)状のものがある。使用する際には、湯を入れて温めるとともに、漏れがないことを点検する。後始末を容易にするためには紙を敷いておくとよい。ゴム製のものは、ゴム袋の中に空気を入れて厚みをつくるので厚さの調整ができるし、肌ざわりが柔らかく、床ずれのある人ややせた人に向いている。また、このような人に対して、和式便器のような厚みの少ないものを用いる場合は、縁に柔らかい布などを当てるとよい。排泄(はいせつ)量が多い場合は、洋式のほうが形が大ぶりなので、病人にとっては安心感がある。仰臥(ぎょうが)のまま便器を使用する場合は、便器挿入後、許される範囲内で上半身をやや挙上すると、腹圧がかけやすくなり排泄が楽になる。男性には、まず尿器で尿をとったあと、便器を当てるようにする。女性は便器で両便を受けるが、縦長四つ折りにしたちり紙を陰部にあてると尿の飛散が防げ、安心して排尿できる。排尿後ふき取るときは、女性は前方から後方に向けてふき取らないと、大腸菌による尿路感染の誘因になりやすい。ポータブルトイレ(室内使用型)を使うときは、安定するように腰掛けさせて便器の位置をよく確かめる。排泄物は量・性状をよく観察し、そのつど捨てる。便器はいつも清潔にし、次回の使用に備えるようにしたい。[山根信子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

べん‐き【便器】

〘名〙 大小便をとる器。おまる。おかわ。便壺虎子
※続日本紀‐文武四年(700)三月己未「竊穿便器。漏汙被褥
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「石鹸(サボン)巾引火奴(マッチュ)嗽碗火罏(ストーブ)水瓶便器の瑣末まで各房に皆備れり」 〔西京雑記‐巻四〕

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世界大百科事典内の便器の言及

【尿】より

…しかし,レンブラントに,立って放尿する男女の絵があるように,外国でもあまり事情は変わらない。便所がないベルサイユ宮殿では,ルイ王朝期のフランス人形のような衣装をまとった美女たちも,立ったまま便器を用いることがあった。メキシコの男はしゃがみ,女が立って放尿するとされるが(G.ラムシオ《海陸紀行全集》),古代エジプトでも同様である(ヘロドトス《歴史》巻二)。…

【便所】より

…中国やインド,ヨーロッパの宮廷遺跡などからは便所が発見されているが,フランスのベルサイユ宮殿に便所がなかったことはよく知られている。19世紀初頭あたりまでのヨーロッパの都市においては,便器壺に用は足すものの,朝,道に捨てるというのが普通であった。これに対し,日本の近世における伝統的都市の糞尿の多くは,近郊農村の肥料としていわば農業と有機的に結合していたゆえに,便所に集中され,都市は比較的清潔に保たれていた。…

※「便器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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