(読み)ソ

デジタル大辞泉 「俎」の意味・読み・例文・類語

そ【俎】[漢字項目]

[音]ソ(呉) [訓]まないた
いけにえを載せる台。「俎豆そとう樽俎そんそ
料理をする台。まないた。「俎上鼎俎ていそ

そ【×俎】

古代中国の祭器の一。いけにえの肉をのせる脚つきの木製の台。

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精選版 日本国語大辞典 「俎」の意味・読み・例文・類語

そ【俎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 儀式や祭宴のとき、いけにえをのせる二足または四足の木製の台。
    1. [初出の実例]「釈奠十一座〈略〉俎三 三牲肉」(出典:延喜式(927)二〇)
    2. [その他の文献]〔詩経‐小雅〕
  3. まないた。〔史記‐項羽本紀〕

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普及版 字通 「俎」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音]
[字訓] そなえもの・まないた

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
両肉片+且(そ)。且は俎(まないた)の形。且の上に大きな祭肉をおく形は宜。金文に「宜(そんぎ)」という語があり、宴を献ずることをいう。〔説文〕十四上に「禮俎なり。の且上に在るに從ふ」とあり、〔礼記、玉藻〕に三俎・五俎、〔儀礼、士昏礼〕に匕俎従設のことがみえる。宴会のことを俎という。

[訓義]
1. お供え、牲肉などをそなえる台。
2. まないた、調理台。

[古辞書の訓]
和名抄〕俎 末奈以太(まないた)〔名義抄〕俎 マナイタ・ヤブル 〔字鏡集〕俎 クダク・マナイタ・サダム

[語系]
俎tzhia、且・tziaは声義近く、みな神饌をおくしきものや台をいう。dzyakはそれを敷くことをいう。

[熟語]
俎几俎距俎壺・俎俎実俎羞俎尊俎豆俎味
[下接語]
越俎嘉俎・牛俎・魚俎・雑俎・尸俎・祝俎・升俎・折俎・薦俎・素俎・尊俎・俎・陳俎・鼎俎・刀俎・登俎・肺俎・燔俎・盤俎・賓俎・列俎

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改訂新版 世界大百科事典 「俎」の意味・わかりやすい解説

俎 (まないた)

料理の材料を切るときに用いる板。《和名抄》は〈俎〉を,音は〈阻(ソ)〉,和名は〈末奈以太(まないた)〉としている。のちに〈真魚板〉〈魚板〉とも書くようになった。日本では古く魚菜のすべてを〈な〉と呼び,さらに魚だけを〈まな〉と呼んだ。その〈まな〉を切り分けるための板であるところからこの名がある。昔は脚付き,それも4本脚のものが多く使われた。室町期に料理の流派が成立すると,流派それぞれがまないたの寸法,板面の名所(などころ),貴人の前で魚鳥の包丁を披露するためにまないたを持って出るときの作法などというものを規定した。《四条流庖丁書》は名所について,〈厨ヲ守ル六星,此俎ノ上ニ五ノ名所ニ下リテ守護セリ,……仍名所ニ随ヒテ切物ヲ可置〉という。板の左右上下の四隅と中央の5ヵ所を〈朝拝,四徳,宴酔,五行,式〉と名づけ,厨(くりや)の守護神である〈六星〉がここへ降臨するので,その名にしたがって切った部分を置くものだ,というのである。まないたは切る材料によって別のものに替えて使ったが,中には板面の四隅の上下に脚をつけたものがあった。これは一種の古い形式で,表で魚を切り裏で菜を切るものだそうだと,山東京伝は書いている。

 世界的に見ると,まないたを使うのは日本,朝鮮,中国くらいで,他の地域ではほとんど使用されていない。つまり,まないたは食事にはしを使う文化圏と一致するものだと報告されている。日本ではヒノキ,カツラ,ホオノキなどの板目にとった厚板を用いるが,中国では太い木を輪切りにする。また,朝鮮では下駄のような脚をつけるのが通例である。なお,最近はプラスチック製のものが出回っており,これは使用後の消毒などに便宜であるが,包丁のあたりなどは木製のもののようにはいかない。
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