信書便事業(読み)しんしょびんじぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

信書便事業
しんしょびんじぎょう

葉書や手紙など、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」(信書)を送り届ける事業。日本では、かつて国が独占的に郵便事業として行ってきたが、小泉純一郎政権による郵政改革の一環として、2003年(平成15)4月に「民間事業者による信書の送達に関する法律」(信書便法)が施行され、民間事業者の信書便事業への参入が可能になった。このため民間企業が総務大臣の許可を得て行うものを信書便事業とよび、日本郵便株式会社の信書便事業は郵便事業として区別されている。信書便事業には、小型・軽量の信書を全国規模で配達する「一般信書便事業」と、大型信書・急送・高付加価値サービスなど特定の需要にこたえる「特定信書便事業」の2種類がある。
 特定信書便事業に該当するのは、(1)長さ・幅・厚さの合計が73センチメートルを超える、あるいは重量が4キログラムを超える信書便物の配達、(2)差し出されてから3時間以内に信書便物を送り届ける業務、(3)料金が800円を超える信書便物である。バイク便や巡回集配ビジネスなどがこれに相当し、2017年2月時点で全国496の民間企業が参入している。一方、一般信書便事業は、長さ40センチメートル、幅30センチメートル、厚さ3センチメートル以下で重量250グラム以下の信書便物を全国均一料金で原則3日以内に全国に配達しなければならないうえ、全国に約10万本のポストを設置し、週6日以上の配達業務を行わなければならない。こうした厳しい参入条件のため2017年2月時点で、一般信書便事業を行う民間企業はない。政府の成長戦略をめぐる規制改革議論では、一般信書便事業への参入条件が問題となったが、総務省郵便課は「通信の秘密保護や全国一律(ユニバーサル)サービスの提供には一定の規制は必要」と主張している。海外の信書便事業は、イギリスで2006年に完全自由化し、ドイツやフランスでも自由化が進んでいる。
 なお信書には、葉書や手紙のほか、見積書、領収書、契約書、願書、診療報酬明細書(レセプト)、招待状、免許証、履歴書などが該当する。一方、広く一般向けの新聞、雑誌、カレンダーなどのほか、一般の人が読むことを想定した研究論文、卒業論文、裁判記録、設計図面、カタログ、小切手、乗車券、プリペイドカード、クレジットカード、会員カードなどは信書には該当しない。信書以外の配達は、貨物自動車運送事業法に基づき、宅配便、小包、メール便として広く民間企業の参入が認められている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例