個性を尊重し、その発展を目ざす教育をいう。「個性を尊重せよ」という標語は、教育の画一化に反対した近代教育以来の新教育の指導理念であった。個性教育の顕著な主張は、西洋教育史においてルソーにさかのぼることができる。彼は、教育の方法だけではなく、目的すらも児童の個性に適合すべきだと考えた。この考えは、ペスタロッチ、フレーベルを経て20世紀初頭の改革教育運動へと受け継がれ、その個性尊重の教育思想はこの運動の教育方法改革の基調をなした。アメリカでは、パーカーFrancis Wayland Parker(1837―1902)が児童中心主義の教育論の端緒を開き、それがデューイに引き継がれて、進歩主義教育運動として展開した。これが第二次世界大戦後の日本の教育改革を推進したことは、周知のことである。
個性教育ということばには二つの意味が込められている。一つは、個性を存在概念として、つまり、所与として静的固定的にとらえ、児童の個性が教育の方法を規制するという考えである。その場合、児童の個性に応じて多様な教育の方法がくふうされ考案されることになる。しかし、個性は変化し、発展していくものである。個性は価値概念として、目的原理(教育理想)となりうるものである。個性をさらに発展させ、十分な実現を期すことは、近代以来の教育の課題でもある。この観点から、もう一つ、個性の発展を目ざす個性教育の考え方が出てくる。もちろん、この二つの意味ないしは考え方はけっして別々のものであってはならない。児童の個性に応じた多様な教育方法は、それが個性の発展を目ざすという教育目的のもとに位置づけられるとき、初めてその意味と価値を得るのである。
[林 忠幸]
『篠原助市著『批判的教育学の諸問題』(1970・明治図書出版)』▽『楢崎浅太郎著『個性教育の原理と方法』(1928・培風館)』
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