日本大百科全書(ニッポニカ) 「健康・医療戦略推進本部」の意味・わかりやすい解説
健康・医療戦略推進本部
けんこういりょうせんりゃくすいしんほんぶ
日本の健康・医療分野の研究開発や産業振興に取り組む政府組織。2013年(平成25)発足。健康・医療戦略推進法(平成26年法律第48号)に基づく法定組織である。内閣に設置され、本部長に首相がつき、副本部長を内閣官房長官と健康・医療戦略担当大臣が務め、全閣僚が参加する。(1)閣議決定する健康・医療戦略案の作成と実施、(2)医療分野の研究開発推進計画の決定と実施、(3)医療分野の研究開発予算の配分方針の決定、などを担っている。アメリカの国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)をモデルに、日本の省庁縦割り行政を排して2015年に創設された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED:Japan Agency for Medical Research and Development)の中期目標の策定や理事長らの任命にあたる。顕著な功績をあげた研究者・団体に日本医療研究開発大賞を授与し、新薬や新治療法に対する国民の周知と理解を図る。
健康・医療戦略推進本部は2013年、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権の成長戦略の一環として発足。2014年に法定組織となった。当初、医療・医薬品、医療機器産業の戦略産業化、健康長寿社会を支える産業の創出・育成、高齢化が進むアジアへ日本の医療・介護サービスを輸出する「アジア健康構想」などを掲げていた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行後は、海外に比べて後手に回ったワクチンの開発・生産に向けた戦略づくりにその軸足を移した。
[矢野 武 2022年3月23日]