全米ライフル協会(読み)ゼンベイライフルキョウカイ(英語表記)National Rifle Association

デジタル大辞泉 「全米ライフル協会」の意味・読み・例文・類語

ぜんべい‐ライフルきょうかい〔‐ケフクワイ〕【全米ライフル協会】

エヌ‐アール‐エー(NRA)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「全米ライフル協会」の解説

全米ライフル協会

アメリカ合衆国における、市民の銃所持についての権利を保護することを目指す同国有数の圧力団体。バージニア州に本部を置き、略称NRA。「銃は人を殺さない。人が人を殺す」をスローガンに、市民が銃を持って武装し自己を守ることは、その権利であると主張している。400万人以上という会員数を背景に、銃器メーカーや販売店などの法人会員から多額の資金を得てロビー活動を活発に行っている。
NRAは、南北戦争後の1871年に射撃訓練を行う団体として設立された。これ以降、長きにわたって協会の主眼は射撃技術の向上にあった。しかし1960年代に米国での銃犯罪が急増し銃規制の世論が高まると、同協会はこれに反対する候補者を支えるロビー活動を開始。莫大(ばくだい)な資金を投じて急激に組織を拡大し、保守的傾向の強い共和党右派とのつながりを深めた。81年のレーガン大統領暗殺未遂事件を契機とした、銃器購入を規制するブレイディ法(1993年制定)施行後には強硬論が台頭。「市民が武装しなければ『バッジをつけたクリントン政権の殺し屋共』(警察)に、あらゆる権利が奪われる」などと激越な主張を繰り返した。その後、反政府的色彩が強まって、穏健な会員からの反発を招き路線を転換。5年間の時限立法だったブレイディ法が延長(2004年失効)を迎えた1998年から2003年までは、映画俳優チャールトン・ヘストンが会長に着任した。この時期には議会活動やメディアを積極的に利用して支持を広げ、第43代ブッシュ(ジュニア)大統領就任にも大きな貢献をしたと伝えられる。
現在の同協会は、「規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、侵してはならない」という、人民の武装権を定めた合衆国憲法修正条項が、銃規制反対の根拠であるとしている。市民社会に向けて、女性の恐怖心をあおり銃所持を促すポスターや、著名人が笑顔で銃を掲げる広告などによる宣伝活動を活発に展開。南部や中西部、山岳部で、子どもたちに実弾入りのライフルを持たせ、小動物を狙撃させるサマーキャンプなども開催し、銃器所持の浸透と拡大を図っている。12年12月、コネティカット州小学校での銃乱射事件で児童ら26人が射殺された際には、「責任ホラー映画ゲームにあり、銃を所持した悪人行為を止められるのは、銃を持った善人だけだ」などと主張して、非難を浴びた。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android