改訂新版 世界大百科事典 「八木一夫」の意味・わかりやすい解説
八木一夫 (やぎかずお)
生没年:1918-79(大正7-昭和54)
陶芸家。京都市東山区馬町に陶芸家八木一艸(栄二)の長男として生まれる。1937年京都市立美術学校を卒業,商工省陶磁器試験所伝習生となった。この間,沼田一雅の日本陶彫協会に入会し,39年の同会第1回展に出品している。46年9月の青年作陶家集団創立に加わり,48年5月の京展工芸部に《金環蝕》を出品,京都市長賞を受けたが,同年7月青年作陶家集団が会員間の見解の相違から解散し,鈴木治,山田光,松井美介,叶哲夫とともに走泥社を結成,用途や機能をまったく顧慮しない,純然たる立体造形をめざし,前衛陶芸,オブジェ陶芸と呼ばれた。その成果は同年9月の第1回展や,10月の第4回日展での《白地三彩草花紋細瓶》にあらわれた。しかし以後日展には出品せず,50年ニューヨーク近代美術館に《少女低唱》《飛翔するカマキリ》などを出品。海外展にたびたび出品して国際的評価を受けた。54年東京フィルム画廊で個展を開き,ことに《ザムザ氏の散歩》は純然たる彫刻的な造形を示した。さらに67年の第30回走泥社展にはガラス作品を発表。71年4月京都市立芸術大学陶芸科教授。同年11月第11回冬季オリンピック札幌大会の入賞メダルのデザインを田中一光とともに担当し,73年日本陶磁協会金賞を受けている。
執筆者:郷家 忠臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報