日本大百科全書(ニッポニカ) 「八木‐宇田アンテナ」の意味・わかりやすい解説
八木‐宇田アンテナ
やぎうだあんてな
短波および超短波用のアンテナ。1926年(大正15)東北帝国大学の八木秀次(ひでつぐ)と宇田新太郎によって発明され、現在テレビの受信用アンテナとしてもっぱら用いられている。単に八木アンテナともいわれる。
2本の平行線路に接続された約半波長アンテナ(放射器という)と、その後方約4分の1波長の位置に半波長アンテナよりもすこし長い導体棒(反射器という)を放射器と平行に置き、さらに、前方には、半波長アンテナよりすこし短い導体棒(導波器という)を約4分の1波長間隔で1~数個並べた縦形配列アンテナの一種。前方向に鋭いビーム状の指向性が得られる。このアンテナは、ただ一つの給電された放射器と、導体棒を単に平行に並べたもので、比較的簡単な構造のわりに鋭い指向性が得られることが特徴である。前方に並べる導波器の数を増せば増すほど指向性は鋭くなり、受信に用いれば受信される電力も大きくなる。
第二次世界大戦の初期に、イギリス軍がシンガポールの要塞(ようさい)に設置したレーダーのアンテナとして初めて用いられた。その後、VHF、UHF帯のアンテナとして広く用いられている。
[関口利男]